読書紹介1616・「ストレンジャー・イン・パラダイス」

●「ストレンジャー・イン・パラダイス」　小路幸也著　中央公論新社　16年版　1300円
　本書は、読んでいて心温まる本。テーマは、地域再生。本書の主人公は、IT企業の広報をしていた土方あゆみ。彼女は、いろいろあって故郷の晴太多（はれただ）を再生するため戻って「晴太多いきいき課推進室室長」として活動する。
　そこに、同級生（6人しかいない）の今田（町役場の係長で、あゆみを呼び戻した）や綾那（東京で社長夫人をしていたが、夫の会社倒産で離婚。あゆみの許に身を寄せている）が集って、地域再生のアイデアを現実のものにしようと奮闘する。そこに、あゆみの働きで晴太多に企業を誘致した東京のベンチャー企業の若い3人のスタッフやその社長。世界中を放浪して、晴太多の空き家となった古民家に住み着いて自給自足生活をするアウトドアの達人・春本などが加わる。
　「限界集落」の晴太多での、1人1人訳ありの事情を抱えながら登場する人物の紹介をしながら、豊かな自然の力に癒されていく人情味溢れた物語でありました。