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2016年11月22日13:47

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読書紹介1591・「御師(おんし)弥五郎ーーお伊勢参り道中記」

●「御師(おんし)弥五郎ーーお伊勢参り道中記」 西條奈加著 祥伝社 10年版 1600円
 主人公は、御師見習いの弥五郎。弥五郎は江戸で、浪人に襲われていた巽屋清兵衛を助けた。恩に着た清兵衛は、弥五郎の案内で伊勢参りをしたいと言いだす。しかし弥五郎には清兵衛の伊勢参りは口実で、決死の覚悟で国許に帰って何事かを成し遂げようとしている、と察するのであった。
 密かに清兵衛を調べた弥五郎は、清兵衛が国許で「幕府直轄領の杉の密売」した咎で取調べられていたことを知る。更に、清兵衛を亡き者にしようとする者が、刺客を差し向けている。
 ということで、伊勢には行きたくない事情を抱えている弥五郎だったが、清兵衛の護衛として他の伊勢参り講の一団に清兵衛を潜り込ませ道中をすることに。案の定、清兵衛には次々と刺客が襲ってくる。又、伊勢参りを騙った盗賊の子供たちが紛れ込み、清兵衛の所持品が盗まれたりと散々な道中となるのだ。
 やがて伊勢に辿り着いた講の一団は、豪勢な御師宿で山海の珍味も味わい、至れり尽くせりの待遇を受ける。しかし御師の役目とは、伊勢参りの宣伝とツアー客の組織・案内にとどまらないのだ。変わり映えのない暮らしと、きつい仕事に追われる日々。その中で伊勢参りは、生きるための大きな張り合いを与えることであった。つまり弥五郎は、清兵衛に「生きる望みを持たせる」ために、清兵衛の頼みを引き受けたということでありました。

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