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2016年08月16日09:54

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読書紹介1567・「殿様の通信簿」 

●「殿様の通信簿」 磯田道史著 朝日新聞社 06年版 1300円
 本書は、とても奇妙な書物をもとに書かれている。それは、元禄期の「土芥寇讎記」という、幕府隠密が探索してきた諸大名の内情をまとめた書物である。この書物は、世界(日本)で1冊だけ残っていたものである。この書物は、元禄3(1690)年ごろまとめられたもので、当時の大名243人の人物評価を載せた稀有な書物である。現存するのは、東京大学史料編纂所所蔵の1冊だけである。
 さて本書では、243人の内の5家についてだけ書かれ、当時の大名がどんな暮らしや考え方をしていたかを教えてくれる。ところで、江戸時代というのは、実は、2つの時代で出来ていた。関ヶ原合戦からの50年が1つ。それ以後(元禄以後)が1つである。本書はその狭間で、戦国の気風の残滓を引き摺る大名と、世の中が太平になったことにより大名が公家のように弱々しくなってゆき、公家の文化に憧れを抱いていく様が描かれている。
 本書を読むと、今日の日本をつくった江戸時代というものがどんなものであったかが、よくわかる。ただ残念だったのは、5家では少なすぎたこと。もっと色々な大名のを知りたかった、ということでした。

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