●「虚空の旅人」 上橋菜穂子著 偕成社 07年版 900円
NHKで、「守り人シリーズ」の第1巻「精霊の守り人」の実写版ドラマが始まった。本書は、その守り人シリーズ4(全部で10)にあたる。前に読んだはずだが、ほんの2〜3カ所しか覚えていなかった。このシリーズの主人公は、女用心棒バルサだが、本書の主人公はシリーズ1でバルサに命懸けで助けられるチャグム(新ヨゴ皇国の皇子)である。
本書では、皇太子となってるチャグム(14歳)が、南の隣国サンガルの「新王即位ノ儀」に招かれるところから始まる。ここで、サンガルを狙う南の大陸のタルシュ帝国の陰謀と呪いにチャグムは巻き込まれるのだ。
この中で、随所でチャグムがバルサに守られた想い出が登場する。そのバルサの想いを引き継ぐ形で、サンガルの皇子たちを助けることにチャグムもまた命を懸けるのだ。サンガルは無数の島々が集まった国で、その海の底には「ナユーグル・ライタ」というこの世とは別の世界が存在していた。
この世とそれとは別のもう1つの世界の狭間が、時々ある種の人々に見えることがある。チャグムも又、その狭間が見えるために陰謀と呪いの正体に正面から立ち向かうことに・・・。という物語。やっぱり、上橋氏のファンタジーは面白い。なんど読んでも読み応えがありました。
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