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2015年12月03日14:02

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読書紹介1470・「怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関」

●「怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関」 法月綸太郎著 講談社 15年版 1500円
 シリージ2作目。「あるべきものを、あるべき場所に」をモットーにする怪盗グリフィンが主人公。本書では、トロッターというSF作家の未発表の遺作が発見されたこと。しかしそれは、スタンフォード大学の学生が、最新の物語自動生成アルゴニズムによってこしらえた「真っ赤なニセモノ」であること。学生が、小遣い稼ぎでネットオークションにかけ大騒ぎになった。これが贋物と判明すると、学生の将来ばかりか担当教授が受けていた補助金も打ち切られる恐れがあるとして、「取り返して欲しい」との教授からの依頼であった。
 もちろん、グリフィンがこの依頼を「真に受けた」訳ではない。そのための調査が開始されたのだ。ところで、トロッターのSF小説のことが本書では子細に語られる。その内容とは、量子学の最新の知見をアイデアにした小説だったこと。ところが、それがCIAの技術部門で秘密裏にすすめていた内容に抵触していたことから、事件は複雑な様相を呈するようになる。ここに、グリフィンの元妻でCIAエージェントのアグネスが登場し、グリフィンの依頼人を捉えようと謀略が仕掛けられたりする。
 さて「ラトウィッジ機関」のことだが、これは「量子コンピューター」の開発機関のこと。「量子コンピューター」が実現すると、どんな暗号も短時間で解いてしまうことができる。つまり、世界中のPCを支配し遠距離操作することが可能となる。疑似的な「神」が誕生するのだ。
 そんな訳で、量子学の「多元宇宙論」などの難解な話が「これでもか」と出てくる小説。少し頭が痛くなるくらいだったが、楽しく読めた本でした。
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