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2015年03月17日17:43

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読書紹介1385・「ディスコ探偵水曜日 上」

●「ディスコ探偵水曜日 上」 舞城王太郎著 新潮社 08年版 2000円
 題名が面白かったので手にした本。舞城氏の本は、初めてである。主人公は、アメリカ人のディスコ・ウェンズディ(水曜日)。迷子捜し専門の探偵である。ディスコは日本で、山岸梢6歳の誘拐事件を解決した。誘拐した富豪から梢を取り戻し、両親の許に届けたのだ。ところが両親が、「やっぱり富豪に育てて欲しい」と言い出した。富豪は、誘拐したことを深く反省していて「賠償金をもっと出すから勘弁してほしい」と言う。どうも、戻って来た梢と両親の間がうまくいかないようであった。
 ということで、宙に浮いてしまった梢をディスコが預かることとなった。2人で暮らしていると、梢に異変が生じるようになった。11年後の梢が、6歳の梢の中にタイムスリップしたり(6歳の梢の身体が、17歳の身体に伸びてしまう)、屋久島の13歳の少女の魂が梢の中(6歳の梢の身体のまま)に空間移動したりするようになったのだ。
 では、身体が他に乗っ取られている間の梢の魂はどこに行っているのか。魂の戻った梢の話を便りに、その場所を突き止めたディスコは、その場所(静岡県のミステリー作家のパインハウス)でミステリー作家の殺人事件と、それを解決するために集まった10人の名探偵たちと遭遇する。
 本書はここで、名探偵たちが次々と真相を推理し(ほとんどが正解)、最後になって誤ったため左目を箸で突いて自殺(他殺?)していく状況が描かれる。名探偵たちの推理の中で、占星術、北欧神話、魔法円、ユダヤ神秘主義思想、ヘブライ語の暗号などなどが、これでもか! というほど出てくる。結局、10人の名探偵はディスコを最後の真相解明者とする前振り役であったのだ。
 という訳で、ミステリー作家死亡事件を解決したディスコは、振り出しに戻ったところで上巻は終わり。上巻のテーマは「出来事は運命と意志の相互作用で生まれる」で、ディスコが意志の力で時空と空間を自由に移動できるようになった、という「トンデモ」の物語。仕掛けが多すぎて、1つ1つ真面目に読んでいけなくなって、飛ばし読みをしてしまった本でした。

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