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2024年04月12日12:45

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読書紹介2388●「宿敵 上・下」

●「宿敵 上・下」 リー・チャイルド著 講談社文庫 21年版 各1000円
 ジャック・リーチャー・シリーズ12。本書は、日本語訳ではシリーズ12だが、著者の書いた順ではシリーズ7である。したがって、これまでの主人公リーチャーの年齢より若くなる。
 10年前、リーチャーが陸軍憲兵の大尉だった頃、女軍曹コールという部下が配属された。コールは、情報将校クインの犯罪を内偵中に、両乳房をえぐり取られて殺された。怒りにかられたリーチャーは、クインを追い詰め頭と胸に3発の銃弾をあびせて殺した(クインは崖から落ちて海に消えた)。
 ところが、その息の根を止めたはずの悪党をボストンで目撃したのだ。リーチャーは、現役の陸軍にのこっているかっての部下に、クインが乗った車の持主を調べるよう依頼した。すると、リーチャーのもとにやって来たのは、司法省麻薬取締局の女捜査官ダフィーだった。
 車はベックというラグの輸入業者のものだが、このベックは大量の麻薬を海外から輸入している要注意人物だった。ベックを辿ればクインに行き着くと、ダフィーの協力依頼を承諾したリーチャー。その協力依頼とは、ベックの長男リチャード(大学生)の誘拐事件をでっち上げることだった。
 リチャードは7年前、実際に誘拐され片耳を切り取られていた。再び誘拐事件に遭遇したところを、たまたま近くにいたリーチャーに助けられれば、リーチャーを頼りにする。そこで、リチャードを実家まで送り届ければ、ベックがリーチャーを雇うようになる、という筋書である。
 司法省はこの囮捜査で、ベックの麻薬取引の証拠をつかむことと、ベックのもとに潜入捜査して行方が知れない女捜査官を見つけ出すこと。リーチャーは、ベックの仕事仲間であるクインを見つけ出すこと。両者の利害が一致したのだ。
 ということで、まんまとベックの大邸宅に潜入したリーチャーに、次々と窮地がつづく。その窮地を切り抜けていくリーチャーのアクションが、本編の魅力である。本書では、10年前のコールとの思い出が、現実の描写と交互して描かれていく。それは、リーチャーにとって苦しい思い出なのでありました。

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