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2024年03月31日09:23

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読書紹介2385●「葬られた勲章 上・下」

●「葬られた勲章 上・下」 リー・チャイルド著 講談社文庫 20年版 各1000円
 ジャック・リーチャー・シリーズ11。ニューヨークの午前2時。地下鉄に乗っていたリーチャーは、同じ車両に乗り合わせた数人の乗客のうち、不審な女がいるのに気づく。リーチャーの頭の中では、昔イスラエルで教わった「自爆テロの見分け方」が再現された。
 9月なのに黒の冬用ジャケット、苛立ち、発汗、チック、神経質な態度、短く浅い呼吸、祈り(のような)の呟き、前方に固定された視線、大きなバック、その中に入れたままの両手。自爆テロに当てはまらないのは、ラッシュアワーの時間帯ではなく深夜であったことだけだ。
 リーチャーは女に話しかける。自分は警官だと嘘をつき、両手をバックから出してほしいと。女はバックから右手を出すが、握られていたのは爆弾のスイッチではなく拳銃だった。その拳銃で、自分の頭をぶち抜いたのだ。
 リーチャーは自殺の目撃者となった。そのリーチャーのもとに駆けつけたのは、地元の警察だけではなかった。所属不明の連邦捜査官、怪しげな私立探偵も接触してきた。私立探偵の口からは、「ライラ・ホス」「ジョン・サムソム」という人名が出た。全員が、女から何か受け取らなかったか? と聴いてきた。
 ニューヨーク市警の女刑事からは、「あなたが話しかけなければ、自殺しなかったかもしれない」とも。リーチャーは女の死に責任を感じた。それと同時に、女の正体や目的に興味を持ち、独自の調査をはじめたのである。
 私立探偵が出した、ジョン・サムソムをまず調べた。彼は下院議員で、こんどの上院議員選挙に立候補している政治家だった。出版されている自伝を読み込むと、いくつもの勲章をもらっていることがわかる。だが、1983年の殊勲賞が何の功績で受賞したのかは書かれていなかった。
 1983年とはアフガン戦争の最中で、ソ連とアフガニスタンが戦っており、アメリカはアフガンを支援していたが戦争には介入していなかった。サムソムは陸軍の特殊部隊を率いていて、ソ連のある情報収集のためアフガンに送られていたとリーチャーは推理した。その作戦は公にはできないが、勲章は与えられたのだと。
 議員会館でサムソムと面会したリーチャーだったが、サムソムは全てを否定した。その頃、自殺した女の正体がわかった。スーザン・マーク、国防総省の人事部の事務員として働いていた。1人息子のピーターが行方不明になっていた。
 ライラ・ホスの部下だという男が接触してきた。ライラ・ホスとその母親だというスヴェトラーナに会うことができた。2人はウクライナ人だと。スヴェトラーナは、25年前にジョンというアメリカ人に親切にされたことが忘れられず、知人であるスーザンに「捜して欲しい」と頼んでいて、その答えを聞けるところだったと。そして言うのだ、「スーザンからメモリーステックを預かっていないか」と。
 やがてリーチャーは、所属不明の連邦捜査官に麻酔銃で撃たれ拘束され、地下の檻の中に閉じ込められる。そこには後で、市警の女刑事と、スーザンの弟でニュージャーシー州の警官ジェイコブも捕らえられて来た。捜査官はリーチャーへの尋問で、執拗にメモリーステックの存在を問い詰める。
 ついにリーチャーの反撃が始まる。捜査官たちを痛めつけ、檻から2人を脱出させたリーチャーは、ライラ・ホスを探すことに。ライラは嘘を言っている。リーチャーが町中に姿を現すと、ライラの部下が接触してきた。部下を叩きのめし、1歩1歩ライラの隠れ家を追い詰めるリーチャー。やがて、1983年の真実が明るみになっていく。その過程で、リーチャーとライラ一味(20名)との攻防、リーチャーと連邦捜査官たちとの攻防が繰り広げられていくのでありました。

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