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2024年05月03日13:12

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読書紹介2394●「奪還 上・下」

●「奪還 上・下」 リー・チャイルド著 講談社文庫 22年版 各1000円
 ジャック・リーチャー・シリーズ13。夏の終わりの深夜、マンハッタンのカフェでコーヒーを飲んでいたリーチャーは、駐車禁止区域に停められているベンツに目を引かれた。やがてありふれた背恰好の男がベンツに乗り込んで走り去った。男の顔はよく見えなかった。
 翌日も同じカフェでコーヒーを飲んでいると、グレゴリーと名乗る男に声をかけられる。昨日のベンツに乗り込んだ男の情報を求めていた。リーチャーが男の特徴を克明に告げると、ボスに会って目撃内容を直接伝えてくれと頼まれる。
 ボスとは、高級アパートメントに住むレインという民間軍事会社の社長だった。1室で5人の部下(元軍人)とともに待っていた。レインは、「妻が拉致され、身代金100万ドルをベンツに置いていた」と事情を話す。リーチャーは「警察に通報しろ」と、レインは「それはできない、5年前に前妻が拉致され警察に通報したら殺された」と。
 今回拉致されたのは、妻とその連れ子だった。リーチャーは、成り行きから人質奪還のため協力することに。ここでリーチャー得意の推理を働かせるのだが、その読みはことごとく外れてしまう。
 犯人から第2の要求が。そして第3の要求が。総額で1050万ドルがみすみす犯人にわたったが、人質は帰ってこない。1050万ドルとは、レインとその部下がアフリカで反政府軍に協力して得た報酬額の半分だった。つまり、その戦闘に加わった者の仕業に違いないと思われた。
 アフリカでレインは、当初政府軍に協力していた。部下2人が前線で反政府軍の壊滅作戦に従事していたが、それを途中で見捨てたのだ。軍人としてあるまじき卑怯な行為を平然と行っていた。そもそも民間軍事会社は、ルールを破るために存在していた。ペンタゴンに雇われていた民間軍事会社は、ジュネーブ条約が妨げになっても関係ないのである。こうして、政府の行為が守られるのだ。
 リーチャーは、レインのような卑怯な男が嫌いであった。しかし、その妻と娘は是が非でも奪還しなければ、と協力する。そんなリーチャーのもとに、レインの前妻の妹・パティが近づく。「姉はレインに殺されたんだ」と。そして紹介したのが、ニューヨーク市警の刑事・プルーワーと、前の拉致事件を担当した元FBI特別捜査官・ボーリング(女)だった。
 ボーリングは、自分の失敗のせいで前妻が殺されたと自責の念をもと、FBIを辞め私立探偵となっていて、「パティの主張は裏付けがなく、信じるに至っていない」と。こうして、レインには秘密に3人の協力者を得たリーチャーは、アフリカで反政府軍(勝利して政府軍となった)に逮捕されたレインの2人の部下の行方を追う。
 やがて、ベンツに乗り込んだ男の正体をつきとめる。それは、妻とその連れ子の買い物の運転手をしたレインの部下・テイラーだった。テイラーは殺されていると思われていて、これまで俎上にもあがらなかったのだ。テイラーはイギリス人で、2日前に飛行機でイギリスに向かっていたことが判明する。
 その事実をレインに告げた(既に母子は殺されたと思って)リーチャーは、テイラーを追ってイギリスに行き、突然、自分の思い違いに気づく。母子を守るため、リーチャーはレインたちと対決することに・・・。という物語。

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