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2020年11月23日11:35

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読書紹介2001●「任侠浴場」


●「任侠浴場」 今野敏著 中央公論新社 18年版 1500円
 綾瀬にある阿岐本組の組長のもとに、弟分から「赤坂にある銭湯の経営再建」の話が持ち込まれる。最初は債権回収のため土地を売却しようとしたのだが、赤坂署のマル暴刑事の妨害にあった。そのうち、銭湯の主人が「売るのは止めて再建する」といいだしたのだ。
 暴対法の関係で、暴力団が不動産売買に関わることができない。そこで、再建話が阿岐本組に持ち込まれた、という訳。ここで、都内の銭湯の現状や都や区の補助金のことから、公衆浴場の歴史までのウンチクが語られていく。阿岐本組長は、松山の道後温泉に研修がてら組員全員で行き、自ら公衆浴場というものを体験することを決める。
 やがて、銭湯再建には2つの問題があることがわかる。1つは、家庭の問題であった。斜陽の銭湯に2人の子ども(女子大生の娘と高校生の息子)が、一切関わっていないこと。家族で、銭湯の将来を語り合ったことがないのだ。
 2つ目は、阿岐本たちがやってくると、しゃしゃり出てくる赤坂署のマル暴刑事の目的であった。阿岐本は、裏に利権が絡んでいると見た。ということで、都の銭湯組合のことや都や区の助成金をめぐる政治家への献金、そのおこぼれに預かったマル暴刑事のことが明らかに・・・。
 暴力団は大嫌いだという著者の、暴力団物語。常識が覆されるギャップが、本書の面白どころでありました。

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