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2020年07月14日10:25

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読書紹介1941●「赤い密約」

●「赤い密約」 今野敏著 徳間文庫 17年版 640円
 本書は、1993年のモスクワで実際におこった「10月政変」での、テレビ局占拠事件をもとにした小説。主人公の空手家・仙堂は、空手の指導でモスクワをおとづれていた。テレビ局の取材に応じるために局に来たとたん、エリツィン派に反対する議会派がテレビ局を占拠したのだ。この事件は、へたをすれば内戦へと発展するものであった。
 テレビ局に閉じ込められた仙堂は、同じ部屋のジャーナリストのアレクサンドロスと一緒になる。アレクサンドロスは、仙堂にビデオ・テープを託し、これを日本のテレビで放映してくれと頼む。このテープには、ロシアの政治家とマフィアと日本の暴力団が映っていて、この3者の結びつきを証明できる、という。
 またアレクサンドロスは、議会派のなかにマフィアが紛れ込んでいて、このテープを探し回っているという。自分は見つかれば殺される、というのだ。アレクサンドロスは、文字どおり命懸けで現在のロシアの暗部を告発しようとしているのだ。仙堂は、そんな男の頼みを断れなかった。
 そんな仙堂のところに、元特殊部隊の兵士で仙堂の空手の弟子が、エリツィン派の内務省部隊の一員として現れる。仙堂を助けるために志願してきたのだ。こうして乱戦のなか、仙堂はテレビ局を脱出。日本に帰国を果たすことができた。しかし、アレクサンドロスは殺されていたことを知らされるのだった。
 ということで、日本のテレビ局に放映依頼をするが、なかなか思うようにいかない。そんな最中、仙堂のもとに日本のヤクザの手がのびてくる。本書では、暴力団のどんな汚い手を使っても目的を果たそうとする暴力に巻き込まれて、仙堂が孤軍奮闘する姿が描かれるのだ。
 そこには、武道家としての繊細な注意力と、日頃の鍛錬による集中力が遺憾なく描かれていて、次々と暴力団員を叩き伏せて行く姿が描かれていくのだ。果たして、アレクサンドロスとの約束は果たすことができるのか・・・。という小説でした。

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