mixiユーザー(id:2810648)

2020年03月03日09:48

114 view

読書紹介1905●「スノウ・エンジェル」 

●「スノウ・エンジェル」 河合莞爾著 祥伝社 18年版 1700円
 スノウ・エンジェルとは、人に純粋な平穏だけを与え、身体への害が一切ない(但し、依存性は強烈)ドラックのこと。そんな合成ドラックが発見された。本書では、このドラックを使って国の財政の立て直しと支配をしようとする権力の策略が描かれる。
 主人公は、かっての弁護士殺し(事故として処分)に疑問を持ち、「マシュー」という人物を追っている神西刑事。彼は、相棒の祥子とマシューを追って罠に嵌り、祥子を殺される。愛する祥子を殺され激昂した神西は、襲ってきた5人の暴徒を射殺し、そのまま逃亡したのだ。
 マシューを追って、そのまま9年が経った。販場で日雇い人足をしていた神西は、かっての上司に発見され、マトリのエリート・水月笙子に紹介される。笙子は、神西をマトリの秘密の協力者にしようというのだ。その目的は、新種の合成「ドラックスノウ・エンジェル」を突き止めることだった。
 ということで神西は、ドラックの売り子となり「スノウ・エンジェル」をアメリカから輸入している人物に近付き、証拠を握って逮捕するという使命に奮闘する、という物語。
 本書では、警察の押収量の50倍の5兆円のドラックが消費されていること。5兆円は国家予算の5%にあたり、これが暴力団の資金源になっていること。また薬物は、人間の脳から快楽物質を強制的に分泌させるもので、摂取し続けるうちに使用者の脳は薬物なしでは快楽物質を分泌しなくなること。それが、強烈な鬱病状や不安、恐怖を与えることになることが語られていく。
 そう、極限すると人間はたった数種類の脳内麻薬(快楽物質。ランニングハイでも、ゲームでも、読書でも、セックスでも分泌される)で生きている(生かされている)動物なのだ。その分泌のバランスが崩れると、人間の精神のバランスが崩れ、強い鬱状態やパニック状態となり、自ら命を絶つことになるのだ。
 やがて、ドラックの輸入業者と取引をすることとなった神西は、マシューにつながる未知の集団に襲われて・・・。本書の後編には「デビリ・イン・ヘブン」(13年発行本)があるそうです。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年03月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031