●「詩あきんど其角」 別所真紀子著 幻戯書房 16年版 2400円
俳句をやりだしたので、目にとまった本。其角は、14歳で芭蕉の門を叩いた。それから、元禄の赤穂浪士の討ち入りの後の47歳までの生涯が描かれている本。
藩医の長男として江戸で生まれた其角は、医術書のほか漢籍や古歌集などを読んで父親の後継ぎになるべく学んでいた。そんな其角だったが、お堅い学問に飽きがきていた。そこに、流行の俳句なるものを初めて目にして、心を動かされる。父に俳句集を請うと、父は喜んで其角に句集を与えてくれたのだ。じつは父の藩主も俳句をたしなみ、藩中でも俳句が流行していたのだ。
ということで芭蕉の門を叩いた其角に、芭蕉は「何故入門したのか」と尋ねた。「そこに生身の言葉、生身のにんげんが表われているように思ったから」と答える其角に、芭蕉は喜んだのであった。
ここに、近世俳諧に芭蕉とともに其角という天才が出現することとなったのである。其角は、芭蕉の「新しい俳句をつくれ」との教えを実践し、これが芭門の作かと思われるような、即興の句を得意とした。こうして次々に、新しい俳句をつくり出していくことになるのでありました。
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