●「陰陽師ーー玉兎ノ巻」 夢枕獏著 文芸春秋 16年版 1450円
本書には9話が収録されている。今回の特徴は、中国の神話の人物・神々が多く登場していることであった。「天帝の外甥にして、天界の武神・二郎真君」とか、「嫦娥」(夫が手にした不老不死の薬を持って、月に逃げた)とか、「魃」(旱魃の神)とかである。
ここまでは知っている神たちであったが、今回は「呉剛」(4千年間、月で木犀の木を斧で伐り続けている)という初めて聞いた神まで登場していた。
このシリーズは30年間も続いている。読んでいると、音楽の音が聴こえ四季の風景が浮かび上がってくるという、なんとも魅力的な本である。いつまでも続いて欲しいシリーズでした。
ログインしてコメントを確認・投稿する