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2017年09月05日11:53

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読書紹介1665・「果てしなき追跡 第1部」 

●「果てしなき追跡 第1部」 逢坂剛著 中央公論新社 17年版 1900円
 本書は、土方歳三が五稜郭で戦死していなくて、アメリカに密航したという物語。歳三は、五稜郭の戦いで新政府軍の銃弾を頭に受け意識不明になった。部下である時枝新一郎が米商船セント・ポール号(新一郎乗船予定だった)に乗せ、妹・ゆら(17歳。兄とともに、長崎で英学を学ぶ)に歳三の介添えをさせたのだ。
 船内で意識を回復した歳三だったが、記憶喪失となっていた。言葉とか、身体で身につけたものは失っていなかったが、ゆらが同郷の者であることも、自分の名も、自分が何者であるかも思い出せないのだ。
 歳三のことは、船内でも少人数しか知らないことであったが、船内保安責任者のティルマンが嗅ぎ付け密入国者とし摘発しようと、サンフランシスコ湾内で待ち伏せして歳三に銃を突きつける。言う事を聞かない歳三に発砲しようとした瞬間、歳三の含み針で右目をやられティルマンは海に落下。
 ということで、歳三たちは米国のポリスマンとのちに連邦保安官を名乗るようになるティルマンの執拗な追跡を受けるようになる。歳三とゆら、そしてセント・ポール号の船長の雑用係だったピンキー(17歳、黒人)は、大陸横断鉄道開通なったばかりのアメリカ西部へと足を踏み入れるのだ。
 以後、インディアンとの遭遇、白人至上主義者の過激派集団QQQとの戦闘(ここで、ピンキーが捕らわれの身となる)など、西部劇なみの活劇が演じられながら、離れ離れになった歳三とゆらとピンキーが、再び出会った場面にティルマンが現れ死闘がくり広がれて第1部は終了。
 記憶喪失の歳三というキャラクターが、サムライ精神をアメリカで発揮するという痛快西部劇が本書の見所でありました。

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