●「訣別の森」 末浦広海著 講談社 08年版 1600円
江戸川乱歩賞の作品を読んでみようと、借りた本。面白かった。主人公は、ドクターヘリの操縦者の槇村宏樹。彼にはドクターの恋人・佐智子がいるが、なかなか「ついて来てくれ」と言い出せない。そこには、自衛隊を辞めざるをえなかったある理由があった。
そんな中、出動したドクターヘリの帰路、山中にヘリが墜落した現場を目視。ヘリの着陸点があることを認めて、槇村がヘリから2人の人物を救出。その1人とは、彼の自衛隊時代の部下・一恵だった。
ということで、自衛隊、知床の自然環境保護問題(エゾシカ)、それにロシアから日本への麻薬密売に関わるマフィヤたちの動きが絡みあったミステリーが展開していくのだ。
本書の前題名は「猛き咆哮の果て」である。槇村は、北海道犬・カムイを飼っている。このカムイにも関わることで、原始の自然の姿に還っていくというのが、1つのテーマになっている小説でありました。
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