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2022年12月19日09:43

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読書紹介2252●「公孫龍ーー青龍篇 巻二」

●「公孫龍ーー青龍篇 巻二」 宮城谷昌光著 新潮社 22年版 1700円
 中国・春秋戦国時代。周王朝(前11世紀〜前256年)の王子の身分を捨て姿を消した(死んだことに)青年が、公孫龍と名乗り再び激動の時代に現れる。龍は商人として生きる決意をしたのだ。
 2巻では、趙の武霊王(〜前295年)の末期に遭遇する。趙王は武霊王の次男が継いだが、武霊王は長男を次男の臣下にしたことに迷いを見せる。そこで趙を2つに分けて、代を長男の国にしようと、息子たち3人を呼んで会合を開くことに。騒乱の始まりである。
 その会合の席に、武霊王は長男に1500人の兵を連れてくるよう命じる。その命を長男は、「その兵で王(次男)を撃て」と解釈し、勝手に突撃するのだ。実は、これ以前にも王と15歳の三男はたびたび命を狙われ、それを公孫龍が助けていた。そのことがあり、龍は趙国の政商にまでのし上がっていたのだ。
 会合に王と共に参加していた龍は、異変を察知。配下に命じて、臨戦態勢を整えさせる。王都の兵を呼び寄せるべく、伝令を放つと共に現地の500の兵を配置につかせたのだ。ということで、王は長男の攻撃に持ちこたえ、王都から来た兵によって逆に長男を討ち取ることに。
 王の兵はそのまま、長男を擁護する武霊王の館を囲い軟禁状態に。武霊王はそのまま食事も摂らず餓死する。なぜ武霊王が長男に兵を連れてこいと命じたかというと、それは王と親しい公孫龍に危機を感じたからだ。早めに、芽を摘んでおこう(龍を殺そう)としたのだ。これが、世に言う「沙丘の乱」(前295)である。
 その後、龍は燕国(支店を持っている)に行く。燕国では、王から斉の情勢を探るよう要請される。燕国はかって、斉国に責められ崩壊寸前までとなった。燕王は、その復讐心に燃えているのだ。斉国から「塩を買うように」と、黄金を預かって斉に向かった龍は、旅先で斉の孟嘗君(天下の大将軍)が斉王に疎まれて王都を立ち去るのを目撃する。
 斉国の最強を誇る孟嘗君がいなければ、戦になっても燕国の勝利が期待できるのだ。やがて、燕国に滅んだ中山国の名将・楽毅がやってくる。楽毅が燕国の手に入れば、斉国との戦いに勝利できると目論んだ龍は、楽毅獲得の機略を王に授ける。それに成功した龍は、燕国でも政商として飛躍していくのだ。
 春秋戦国時代の大事件を、公孫龍という貴種(周王朝の王子)を絡ませて解き明かしている物語でありました。

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