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2020年11月28日14:35

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読書紹介2002●「リオ」

●「リオ」 今野敏著 新潮社文庫 07年版 630円
 警視庁強行犯係・樋口顕シリーズの1。時代は95年、樋口40歳で警部補である。樋口は、団塊の世代の尻拭いをさせられた世代である。彼はマイホーム主義者で、家には学生時代の同級生の妻と16歳の娘がいた。
 樋口は、見た目はソツのない印象で「山っ気や押し出しがまったくない」、真面目だけが取り柄の謙虚な男と思われていた。シリーズ1では、そんな樋口の生い立ちから団塊の世代論が詳しく描かれている。
 ある日の火曜日、マンションの一室で45歳の男が殺された。その現場から、色の白いすごい美人の女の子が飛び出していった。目撃情報が相次いだのだ。やがて、次の火曜日にラブホテルの一室で元暴力団員の男が殺された。ここでも、色の白い美人の女の子が逃げていったのが目撃された。連続殺人事件である。
 捜査の結果、その少女がリオ(里央)という都立の進学校の生徒であることが知れる。両親は団塊の世代の闘士(革マル派)で、大学卒業後に同棲・結婚とすすんだが、リオが小学4年の時に離婚。夫も娘も顧みない母親は仕事に夢中で、アメリカへと飛び立っていった。父親はその後若い女と再婚し、子をもうけてその妻と子に夢中になり、リオのことに関心を向けることがなくなった。
 そして、第3の殺人が。そこにもリオの姿が。殺された3人は、皆風俗営業に関わっていたこと。殺人が火曜日に行われていることから、計画的な犯罪と思われたが・・・。
 本書では、団塊の世代に対する批判が、それを反面教師として育った樋口たちの世代からなされている。その内容は、団塊の世代は古い体制から解放されることを旗印としたこと。自らを解放した結果、抑制というものがすっぱりと抜けてしまったこと。私生活でも抑制や我慢というものが足りず、離婚が増大し、ツケがその子供たちに現れた(子供にとって、両親の離婚が最大の心の疾病のもとになる)、というものでありました。

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