●「サピエンス日本上陸ーー3万年前の大航海」 海部陽介著 講談社 20年版 1800円
日本列島にホモ・サピエンスが上陸したのは、3万8000年前以降である。それは、旧石器時代の遺跡がその頃から急増したことで知られる。そのルートは、�‖舂Δ�ら朝鮮半島経由、��台湾から琉球列島経由、�Ｋ務て察並舂Α璽�ラフトー北海道は陸続き）から古本州島経由である。本書は、その内の�△侶侏海鮗尊櫃房存街匈い靴討澆擦慎�録である。
5万年頃から、ホモ・サピエンスの渡海が繰り返され「本格的な海洋進出」が始まった。旧石器時代の祖先たちは、小舟を人力で動かしていたが、4万7000年前かそれ以前にオーストラリアやニュギニアへ、そして3万8000年前以降には東アジアの大陸縁辺から古本州島や琉球の島々へと移住していった。
4万〜3万年前頃の琉球列島は、東シナ海を黒潮が通り、トララ列島（屋久島と奄美大島の間）を流れていた。台湾（大陸と陸続き）の南の山の上からは、与那国島が朝夕だけ見えた。与那国島は太陽が出てくる方向にあり、そこに行けば素晴らしいことがあると、人によっては信じたかもしれない。しかし、山を下れば島は視界から消えてしまうのだ。 実験航海は、3つの舟を造って試みられた。�〜霹欺�、��竹筏舟、�４殘攴�である。ところが、�，鉢△和耋僂硫�合を運航できるだけで、台湾と与那国島の間の黒潮を渡るなど無理なことがわかった。そこで丸木舟である。しかし丸木舟は、その残骸が遺跡から見つかった例は、3万年前でも世界のどこにもないのだ。だが、丸木舟以外では渡航はできないことも、実験で判明したのだ。
旧石器時代の航海の証拠は、約3万8000年前の地層から多数発掘されている。神津島の黒曜石である。神津島周辺には、黒潮の分流が入り込んでいて、渡ることは容易ではない。それなのに、この黒曜石が日本列島のいたるところから発掘されているのだ。
古代の航海は、準備なしに行けるほど甘くない。リスク覚悟で新しい世界に飛び込んだ彼らは、立派な挑戦者で、何年もの準備と熟練の技をもって渡海に及んだのだ。挑戦者たちは、与那国島を目指して意図的に渡海したこと。それも、琉球全土に行きわたる程の渡海とは、少なくとも17回も試みられた（一隻に5人の男女が乗って）はずである。
ホモ・サピエンスとは、世界各所で不要なことに精を出している（現代人が全力でアート、スポーツ、旅や冒険のように）。どうやらそこが、ホモ・サピエンスのホモ・サピエンスたるゆえんらしい。そんな不思議な存在だったことが、今回の実験航海で判明したのでありました。
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