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2011年01月26日18:23

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こどもの心(2)  銀の匙

 中 勘助「銀の匙」は、子供の心をそのままに描いたと定評がある。病弱であまえん坊の子供時代に、伯母さんにつきっきりで育てられた時のそのありのままの様子である。伯母さんは身寄りがなく著者の家に頼っている人で、かわいがっていた勘助の上の兄が死んだ時、もう一度生まれてくれと祈って、その翌年勘助が生まれたために、生まれ変わりだと信じた信心の人であった。小学校に上がる前は、外に行くときはいつも負ぶわれて、お寺へのお参りや駄菓子屋で好きな物を買ったりしていた。気難しがりですぐにすねるのであるが、漢字は良く読めないのだが記憶力は良く、話を作って、勘助の気持ちをときほぐしたそうである。
 意気地無しの怖がりで、雲の形で普賢菩薩、文殊菩薩と教えられていたのが、その形が崩れて死人菩薩になったと震え上がったこともある。記憶力がよいと思うのは、普請場でのかんなくずを両手に受けたとき、指の間からこぼれるのがこそばいのがうれしいなどと言っていることである。そんな小さいことをその感じまでよく覚えているものである。
 さて、勘助は小学校に入ると、だんだん学校になれて、女の子の友達ができると、良いところを見せるために勉強に身を入れて、予想外なことにガキ大将になり、級長にもなったとのことである。変われば変わるものであるが、伯母さんの勘助に寄り添った教育も効果があったのだろうか。「坊っちゃん」のお清さんを思い出した。
 勘助という人はどういう子供だったのか。とにかく、尋常なあまえんぼうではなかった。そして、伯母さんの背中から見たことをよく覚えている。悪くすれば執念深い人になっていたかもしれない。これが、にんじんがおかれた状況ならどうなっていたかとかんがえると、能力があるだけ恐ろしくもある。
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