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2024年02月13日13:55

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紫堂恭子「魔女の箱庭」2巻を読む

1巻の巻末で「謎解き」が予告されていたこともあり、やはり物語は2巻で終わった。
しかし、1巻で予感していたような謎が解けて後日譚で終わるという雑な展開ではなく、
2巻の中でなかなかハードなもう一波乱があった。

世界の成り立ちの「謎解き」という性格上、具体的には書けないのだが、
そんなところに落とし込んだかあという鮮やかさはあり、
シビアな現実と地続きなファンタジーを創造する紫堂恭子の力も感じられた。

ただし、最後のまとめがいくぶん急ぎ足になったきらいもあるので、
もう少しレイラに冒険をしてもらった上で、3巻ものにも出来たようにも思う。
ただし、「私だけが気づいた世界への違和感とその秘密」という物語の性格上、
恋人のセドリックを振り切って単独で旅をすることとなったため、
ベテランの味で工夫は凝らしているものの、独白が続くことの苦しさもあった。

小説であれば、内面に深く切り込んで語り続ける単独行は珍しくないが、
絵で見せるマンガには不向きな題材であったのかもしれない。
あるいは、バディがいない冒険の寂しさ以上に、
世界から丸ごと拒絶されたような絶望感を絵で見せられることのつらさもあった。

イヤな時代が作品に反映されたところもあるのだろう。
それでも最後の数ページに希望を残してくれたのはよかった。
ただ、読者のワガママとしては、
そうした希望の部分をもう少ししっかりと味わいたかったのだ。
たとえ、本を閉じた後に、つらい現実に戻らなければならないのだとしても。
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