昨年のことだが、読売新聞の読者から、毎年同じことを報道するのかというクレームがついたらしい。読売の編集手帳には、毎年やります。毎年大騒ぎします。という趣旨の回答があった。
無論、大平洋戦争は米軍の都市空襲と弁駁により国民に未曽有の被害と戦死傷者を出して敗北した。東条英機が生産力でかなわないのを知りながら、大和魂だと言って開戦に踏み切ったのである。
この内閣の岸商工相は、敗戦後の戦犯解除後に首相になって、日米安保条約を対等な互恵関係に改定している。
では、そもそも太平洋戦争の歴史的意義は何なのか?
それは戦後の歴史地図を見れば一目瞭然なのである。太平洋から東南アジア、インドに至る南アジア諸国が独立国になっている。ほとんどが英国の植民地であり、ベトナムなどがフランスの、フィリッピンが米国の植民地だった。
今週の朝ドラ「ブギウギ」では、米英との開戦の放送を聞いた国民が外へ出て万歳万歳と叫んでいた。それが史実かどうか知らないのだが(私としては初めて聞いた)、しかし、それまでの中国での戦争に忸怩たる思いのあった新聞記者たちが、英国の植民地解放の戦争を喜んだことは確かである。
そもそも明治維新による分権(封建国家)から統合国家への転換は、大英帝国に対抗するためでもあった。(同じころ、ドイツはプロシャのビスマルクを中心にして、イタリアはサルディニアのカブール首相と民間のカリバルディによって領邦国家から統一国家になった)
長州の高杉晋作や伊藤博文は英国の植民地香港が麻薬にまみれていることにショックを受けていたとのこと(大河ドラマ)。
ということで、早く近代産業を起こし、武器も自前で生産できなければならないと小学校の義務教育と大学までの教育制度、富国強兵、殖産興業が急がれた。
産業のいない手である企業の設立には、民間では渋沢栄一、国との協力によって三井(呉服商から重工業へ転換)、三菱、住友などの財閥企業が設立された。鉄は産業の米ということで八幡製鉄所は当初は国立企業だった。
ということで日本は近代工業国家になったのだが、アジア諸国もそうであらねばならないと思い込み、指示に従わない挑戦を併合し、辛亥革命で古巣の満州に逃げて来た清朝最期の皇帝を満州国皇帝に祭り上げたが、一向に欧米に対抗しようとはしないので、大平洋戦争敗戦の時に、インド、インドネシア(スカルノ大統領)、ビルマなどを独立国にした。
で、敗戦した後、アメリカは日本に賠償金をアジア諸国に与えるように指示したので、岸首相などもせっせとアジア諸国への援助や合弁事業などの仕事を日本企業に与えたのである。つまり、賠償金に変わるアジア諸国への事業が日本産業復興のもとにもなった。
で、ジャーナリズム新聞記者(今はテレビも)であるが、敗戦と同時に、それまでの大英帝国批判から日本政府批判に転換して、今に至っている。
12月と8月は新聞の反戦キャンペーン月間となったわけである。
丸山眞男は日本政府を無責任体制だと批判したが、真の無責任男は新聞社なのである。日本人は税金で賠償金を支払ったわけで。
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