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2023年11月15日08:10

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フィクションと現実(20) にぎやかな詩や歌

 宮沢賢治
 妹とし子との最後の会話「永訣の朝」など「無声慟哭」詩編や妹を追悼するだけでなく、後追いの衝動に駆られる「オホーツク挽歌」群など悲劇的な詩がある一方で(結婚してとし子が雑貨屋を開いたが、1年で病気で亡くなったとの詩もある)、もともと陽気で冗談の好きな性格なので明るい詩も多い。

 「冬と銀河ステーション」
 ・・・
 みんなは生ゴムの長靴をはき
狐や犬の毛皮を着て陶器の露店をひやかしたり
ぶらさがった章魚を品さだめしたりする
あの土沢の冬の市日です
(土沢は花巻から遠野を通って三陸海岸の釜石へ向かう軽便鉄道の駅で、花巻のすぐ近く)

 「北上川は熒(けい)気を流しイ」とし子と土手を散歩しながらの会話
 ・・・
 ああミチア、今日も暑いねえ
何よミチアって
あいつ(カワセミ)の名だよ
ミの字はせなかのなめらかさ
チの字はくちのとがった具合
アの字はつまり愛称だな
マリアのアの字も愛称なの

 「岩手軽便鉄道の一月」
 ぴかぴかぴかぴか田圃のゆきがひかってくる
 ・・・
 よう かわやなぎ サリックスランダー 鏡を吊るし
はんのき アルヌスランダー 鏡を吊るし
からまつ ラリクスランダー 鏡を吊るし
グランド電柱 フサランダー 鏡を吊るし
(ランダーはlander地人で、後の羅須地人協会の予告だと思う。 サリックスなどは学名、電柱のフサはスギの学名説があるとのこと)

 唐詩
 江南春 杜牧   
千里鶯啼緑映紅
水村山郭酒旗風
南朝四百八十寺
多少楼台煙雨中

千里鶯啼いて緑紅に映ず
水 村 山 郭 酒 旗 風
南朝四百八十寺
多少の楼台煙雨の中
(南朝の梁502-557は仏教を保護した。すぐに隋に併合されたが、隋も仏教を保護している)

 民謡や盆踊り歌にはにぎやかなものがある。
東京音頭 詞・西條八十、曲・中山晋平   踊り踊るなら チョイト 東京音頭 ヨイヨイ
炭坑節 月が出た出た月が出た・・・
「おてもやん」熊本県民謡
おてもやん あんたこの頃 嫁入りしたではないかいな
嫁入りしたこつぁしたばってん ご亭どんが ぐじゃっぺだるけん
まあだ 杯ゃせんだった

「よさこい節」高知県民謡
「ソーラン節」北海道・積丹半島のニシン漁の民謡

 絵画では、棟方志功の釈迦十大弟子は人間味があって賑やかそうに見える。

逆に、詩は孤独の心を表現しているのが多い。にぎやかなのは見つからなかった。


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