mixiユーザー(id:34218852)

2023年09月28日17:44

16 view

旅の記5  中国山地と北上山地

 瀬戸内の福山市から山陰の松江に向かうには中国山地を横断することになる。中国山地の本来の林は照葉樹だったらしいのだが、大量にたたら製鉄に使って、しかも元々やせた土だったので、後は赤松しか生えなかった。で、行けども行けども赤松林である。50年前は虫による松枯れが問題になっていた。
 冬になると大山のスキー場に行こうとなる。
 山道をしばらく走ると盆地になって街になる。そこを外れるとまた赤松林になり、また盆地の街。 
 峠で休むと、下に山陰の海が見える。瀬戸内側は長いのだが、山陰側は短い。正月用だろうが、鱈(雑煮にも使う)の市がたっていた。で、「峠路に旗翻る鱈の市」というような俳句を作った。
 なぜ峠に魚の市が立つのかと思ったのだが、山陰でとれた鱈を人口の多い瀬戸内の広島市や岡山市など大中都市から買いに来る風習ができていたのかもしれない。

 後に、盛岡市へ転勤になった。こちらは落葉樹なので、「冬日向木々の向こうに知らぬ街」
 北上山地は、盛岡から太平洋沿岸の宮古市まで山肌ばかりで森があるような気がしない。無論、森もあるわけだが。
 西塔幸子(こうこ)(本名は西塔カウ、旧姓は大村)「灯を消せば山の匂いのしるくして はろけくも吾は来つるものかな」
 盛岡から北上山地の川井村小学校に転勤になった夜の歌である。
 視覚から嗅覚へ。明かりを消せば闇になって、山の匂いに囲まれていることに気が付いたのである。感覚の移動を描いてすばらしい。
 彼女の弟が、大牟羅良(本名は大村次則)で、戦後に北上山地の村を古着の行商に回って、その時の経験をもとに、ドキュメンタリー「もの言わぬ農民」岩波新書 を書いた。


4 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年09月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930