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2012年04月21日10:38

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映像の向こう側(21)  パリの御堂筋

 ヌーベルバーグ映画の代表作との評価のあるルイ・マル監督「死刑台のエレベーター」1958年 を始めてみた。会社社長の夫を元外人部隊の恋人(モーリス・ロネ 太陽はいっぱいの殺され役)に殺させる妻(ジャンヌ・モロー)、行きずりのドイツ人夫婦の車を盗もうとして殺してしまう青年とその恋人たちの、いわば犯罪サスペンスなのだが、それよりも登場する三組の不倫、恋人、夫婦のそれぞれの絆の深さが印象的だった。
 確かに手法的には、ほとんど説明的でなく、また夜の街を行くへの分からなくなった不倫相手を探して(実は、殺人の後エレベーターに一晩閉じ込められていたのだが)夜の街を捜し歩く場面がえんえんと続いたり・・・確かにこれが映画のヌーベルバーグ、つまり新しい波なのだろう。原作者ノエル・カエスという全く知らないのだが、人間関係の描き方は保守的であった、というか人間関係の絆に疑いを持っていないみたいなのだ。
 妻は殺人を依頼した恋人を探そうとし助けようとして必死であり(自分を捨てて逃げ出したとは思わないらしい)、殺人が発覚した後はもう一度一緒になれる時を思って呆然とする。
 無軌道な若者は、行きがかりで夫婦を撃ち殺し絶望する。その恋人ははなればなれに刑務所に入るぐらいなら、今死のうと、睡眠薬心中をはかる。
 ドイツ人夫婦は、夫が撃たれた後、かばおうとした妻も撃ち殺される。
 まことに、罪を憎んで人を憎まず、とはこの映画(小説)のことではないだろうか。
 それにしても、「雨の御堂筋」みたいに「あなたはどこよ、あなたを探して」歩き回るジャンヌ・モローの不吉な顔・・・久しぶりに見た。
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