「落語をやめて物書きになったらええのに」と言われる桂米二が書いた
上方落語の紹介本である。
何気ない日常の話から気がつくと、話に入っている。
上手いなあ、と思いながら、気がつくことがある。
ひょっとして、これ、この噺のマクラなんとちゃうンかいな。
実はそうでないのかもしれないけれど、そう思わせるほどに軽妙に、
また、自然に十八席の落語を紹介してくれる。
単に話の紹介にとどまらず、師匠に習った時のエピソードや、
演者によって噺の演出を変えるところ(米二さんは「工夫」と表現します。)など、
なかなか聞けない話をしてもらえるところも貴重だ。
それにしても、米二さんがもう50代と知って驚いた。
私がお見かけしたころは、まだ米朝一門の若いお弟子さんだったのだ。
もっとも、私が熱心に落語を見ていたのは三十年近く前なので、
どう計算しても、50代である方が正しい。
なんともはや、年はとりたくないものである。
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