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2019年10月30日15:24

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「ののちゃん全集」11巻を読む

実は去年に出ていた本だが、たまたま本屋で売っていたのを発見した。
そんなに積極的に追いかけないけれど続きは読みたいし、
見つけたら買ってしまうという距離感だ。

まず、この巻で気づいたのは、思いのほか丁寧に間違いを正していることだ。
要は、ボケに対して的確なツッコミを入れているのだが、
あきれたり、ひっくり返ったりして、ほったらかすということをあまりしない。

市役所からの督促に「わたしの計算では督促はギリギリ来週あたり」という祖母には、
母は「ちょっとでも利息がつくとかアホ言わんとさっさと払う!」と母がたしなめる。

出先で雨が降り、傘を持つ手が冷たいと祖母がいうので、すかさず母が手袋を差し出し、
あわせて「だれのかしらんけど」と一言添えると
(忘れ物なら)「もどしときなはれッ」と祖母がたしなめる。

コンプライアンスというような面倒な話もあるのかもしれないが、
そもそも手数が多いというか、ツッコミのバラエティが豊富で、
間違いを正す言葉であっても、間延びしないピシッとしたツッコミになっている。

また、背景に登場するちょっとしたもののセンスの良さも見逃せない。
新しくできたコンビニの屋号が「子分親分」だったり、
朝カフェの意味ありげなメニューが「イカガナモナカ」だったり、
本ネタとは無関係なところでも感心させられる。

と思えば、1組のミヤベくんは、ときどき登場しては鮮やかな推理を見せ、
5年3組の人見さんは800メートル競走で優勝して表彰されるというような、
明らかに宛描きネタも登場する。(顔も似ている。)
(人見絹江ネタに反応するのは、1年遅れで「いだてん」後に読んだ効果だろうか。)

また、唐突に、学級新聞の記事という体裁で、
「本能寺の変が歴史上の大事件というが、もともと信長の評価が高すぎる。
尾張・美濃・伊勢・近江半国以外は自立性を認めたみなし領国だし、
調停者としての君臨するだけなら足利幕府と変わらないし、検地もしてないし、
信長は三好長慶の後ガマ程度の存在。(と明智光秀は考えていたのではないか)」
というような説をサラリと披歴されたりもする。

なにせ長期の毎日連載の4コマなので、相当に自由度が高い。
もともと普通の4コマでも、そんなところに行くかあ、という発想の豊かさに感服する。
とはいえ、自由にできるからといって、ここまで自由にできること自体が、
やはり、いしいひさいちの才能なのだろう。

こういう刺激があるから、4コマなのに愛読してしまうのだ。
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