山田航編著「桜前線開架宣言」左右社2015 から石川美南(1)
1枚目 ナビブ砂漠の廃墟・・・教授室?
2枚目 マヨネーズが後ろから付いてくる?
3枚目 映画「ソフィーの世界」 写真はネットから
石川美南 1980年横浜市 幻想とユーモアと少しの自虐
半分は砂に埋もれてゐる部屋よ教授の指の化石を拾ふ
☆海風:古びた教授室、古風な教授。そこから連想が砂漠を呼び出し、教授の指が化石に見えたのである。気の毒と言うべきか、本望なのかも。「砂の女」の教授バージョンである。
走り出せ青いロバども(売却済)シールを片つ端から剥がす
☆海風:ぬいぐるみのロバを草原へ放つ。野生で生きていけるのかどうか知らないが。
近眼のエリコ(あだ名はマヨネーズ)今日ものそのそ付いてくるなり
☆海風:飼い犬と散歩しているのか。いや、多分自身の影、もう一人のマヨネーズ容器のような丸い体型のさえない私。というか、他人にはそう見えているのを自覚しているのである。
(うなぎになりたい貴方のためのプチうなぎレッスン初回二時間無料)
☆海風:柔軟な体にするためのレッスン。本当にうなぎになって、ブラック・ショート・ショートのようでもある。
海猫がむだ・むだ・むだと鳴くといふ近ごろ本が読めないといふ
☆海風:私の場合だと、耳元にむだ虫がいて、このまま一生鳴き続けるのだと思う。
十月に長い休暇を取るのだとあなたの著者があなたに言はす
☆海風:ヨースタイン・ゴルデル「ソフィーの世界」のように、小説の中に住んでいるらしい。いえ、私が休みたいんじゃないんです。著者がそう書いちゃったんです。
捨ててきた左の腕が地を這つて雨の夜ドアをノックする話
☆海風:モーパッサンの短編の一つにそんなホラーものがあった。
「発車時刻を五分ほど過ぎてをりますが」車掌が語る悲恋の話
☆海風:車掌のよくあるお知らせが、悲しい恋の打ち明け話にワープしたら退屈しのぎになるのに。
みぞれ味と聞いて買ひたる飴玉が吹雪味とは 困つた話
☆海風:私には区別が付きそうにないが、まったく違うものなのだろう。
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