NHkの朝ドラ「ごちそうさん」では今、嫁いびりのたけなわである。いかにも古いモチーフであって、新聞の評でも新珠美千代主演の温泉旅館再建物語「細腕繁盛記」と比べていた。こちらのいじめ役は富士真奈美だったが。
しかし古いと言えば、神話やメルヘンそれに中世騎士物語などの、試練を与えるパターンと同じだとみれば、限りなく歴史をさかのぼることになる。
アーサー王だったと思うが、岩に刺さった剣を抜いて王に推戴されている。ダビテもゴリアテを倒して王になったし、日本ではスサノオがヤマタノオロチを倒して出雲の王になったのである。
さらに、嫁として認められるかどうかでも、ギリシャ神話でエロスとの結婚を義母ビーナスの与えた試練を乗り越える物語があった。
メルヘンでも嫁入り、婿入りの試練が類型となっていたと思う。
日本でも、スサノオが大国主の婿入りを認めるまでに、たくさんの試練を与えている。大国主は婚約者の助けでそれを乗り越える物語があった。
ということで、本来のいじめ物語は、成人として認められるイニシエーションの試練の物語だったと考えられよう。それがいささか矮小化されて姑、あるいは小姑による嫁いびりの変種になったに違いない。
最近はあまりないようだが、子供の頃の童話などには肝試しの物語があった。墓場へ何かを取りに行かせるとか。これの変種がお化け屋敷であろう。今は、こちらも見かけないが。
残念ながら、今は忍耐心がなくなっていて、かみさんなどは「こんなことされたらすぐに実家に帰る」といきまいている。イニシエーションの試練も今は昔になったのであろう。
ログインしてコメントを確認・投稿する