唐沢なをきは、「漫画家超残酷物語」で鉱脈を見つけたと思ったのだろう。
この作品は、「漫画家超残酷物語」でも描かれた漫画家の哀しい現実を
唐沢本来の絵柄で描いている。
ごく少数の売れっ子漫画家がいて、たくさんの売れない漫画家がいて、
さらに、もっとたくさんの漫画家志望者がいる。
そして、締め切りに追われる人気商売というギリギリの生活と
一発当てれば大金持ちの時代の寵児となることができるという
漫画家の二面性が、漫画業界の各層に「困った人たち」を生み出している。
もちろん、フィクションであるとは断ってはいるものの、
いくぶんかの誇張を差し引けば、「ありそうな話」にも見える。
相当にひどい話を描いていながら許せてしまうのは、
あるいは、荒唐無稽な話なのに笑ってばかりではいられないのは、
それが、唐沢が「自分たちの業界」の話を描いているからだ。
ある意味、唐沢のシリアス化とも言えそうだ。
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