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2023年04月18日09:47

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浮世の謎(57) 川端康成「古都」

 1枚目 北山杉の里
 2枚目 北山杉(台杉仕立て) 究極の北山杉

 朝日新聞の連載で読んでいたが、今ウィキを見ると、川端作品の中で一番人気だそうである。確かに「雪国」の越後湯沢や伊豆の天城峠を超えようとする人もるだろうが、京都の知名度と交通の便とは比べるべきもない。
 そもそもが京都観光案内のような小説なのだが、それに加えて北山杉の里という通常知られていない地域も双子の姉妹の一方が住む舞台になっている。
 京都の嵐山を清滝川に沿って少し北へ行ったところなので、近いのだが、観光地ではない。

 北山杉は床の間の柱に使う高級木材である。康成が京都の宿で座る後ろの床柱が絞り丸太だったはず。で、友禅染娘だけでなく、北山杉娘との双子姉妹(映画では山口百恵などの二役)の物語にしようと思ったのだろう。

 西陣織に模様を付けて染める友禅染は、よく知られているが、高過ぎて手は出ない。鴨川の西側の端に人工の浅い水路が作ってあって、そこで友禅をさらしていた。今もそうだと思うのだが。

 北山杉の里(高尾地区)は、京都近郊山村と言うべき立地なので、それに清滝川は谷川のようなものなので川に流すわけにはいかない。ということで、峠を越えて運べる程度の小型の杉にしたとのことである。自然にしわしわの模様の付いているのもあるが、普通は、表面に模様が浮き出るように締め付けて作った絞り丸太である。

 ということで、康成はおなじみの祇園祭、大文字焼、西陣織・友禅染に鴨川の三条大橋などに加えて、北山杉の里を登場させて拡大版京都観光案内小説に仕立てたのであった。

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