1枚目 赤い州と青い州
2枚目 チャーリー・ブラウン 表紙絵
3枚目 大草原の小さい家 表紙絵
以前に、シュルツの評伝を読んでいた。
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ファンタジーの中へ(144) デイヴィッド・マイケリス「スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝」亜紀書房2019 2021年12月10日20:54
著者の広淵は、1933生、東大文学部卒。テレビ朝日記者を経て執筆活動。
アメリカ人のイメージは、いつも陽気で、積極的に自己主張し、自分の夢の実現のために努力する、と言うところだろうか。
しかし、チャーリー・ブラウンはいつも憂鬱な顔をして、ガミガミ屋のルーシーの標的になっている。それでも、他の子から無視されているために、悩みを打ち明ける相手は相談室のルーシーしかいない。
本書の著者はアメリカ人のもう一つの側面としてチャーリー・ブラウンを分析しているのだが、エイブラハム・ツワルスキーと言う心理学者は、悩み多い人間が生きていく上でのヒントがあると捉えているし、チャールズ・シュルツ自身も「スヌーピーたちの心の相談室」という人生相談として解説している。
私海風は、著者の広淵と同じく、アメリカ人のもう一つの側面とみている。シュルツの評伝によれば、父方はドイツ移民の一族で、母方はスウェーデンからの移民で、父はミネソタ州ミネアポリスで理髪店を経営していた。一族の男はマッチョ・タイプで農場経営者で、子供の頃のシュルツは怖がっていたとのこと。
もともとチャールズ・シュルツは外交的ではなく、引っ込み思案で子供のころから漫画を描くのを楽しみにしていたし、母の妹の一人が、いち早くチャールズの才能を見抜いてくれたことに恩義を感じていたとのこと。
ということで、マンガのチャールズ(すなわちチャーリー)・ブラウンの性格が出来上がったのである。すなわちアメリカ人らしくないアメリカ人である。
アメリカの場合、大統領選挙では共和党州と民主党州がほぼ固定しているとのこと。すなわちアメリカの始まった東北部と西部が民主党で、真ん中が共和党になるとのことだが、近年のトランプ大統領で明瞭になったが、真ん中、すなわち農業地帯は直接的にアメリカ第一主義で、アメリカ建国の理想を求めたり、資本の論理によって迂回的にアメリカの利益を追求するタイプではなかった。
アメリカの戦争は民主党政権の時に多いと言われているが、その理由も正義を求める結果として他国の内戦に干渉するわけである。ベトナム戦争もケネディージョンソンの民主党政権で、共和党のニクソンが終わらせた。
ということで、シュルツの育った中西部は本音主義だったし、遠慮なく(あるべき)アメリカ人に反するチャーリー・ブラウンが登場するわけである。
昔のアメリカのテレビドラマにルート66があった。国道66号は東部から西部へ横断する基幹国道とのことだが、二人の青年が問題を抱える人々に助言したり、解決したりしながら西部へ向かうというドラマだった。つまりアメリカの理想の宣教師なのである。
一方、映画の「イージー・ライダー」はイカレタような大型バイクに乗ったヒッピーの二人組が、保安官の引き返せと言う警告を無視して南部へ進んで、地元民に射殺される話だった。むろん南部も、異質なものは受け入れない保守主義なのであった。
テレビドラマ「大草原の小さい家」シリーズは、中西部の開拓者の娘・ローラの物語だったが、新聞記者になったローラの娘ローズ・ワイルダーが母に勧めて少女時代の回想記を書かせたのである。
ローズは新聞記者だったが、その出自から言っても家族農業の支持者だった。それで共和党のフーバー大統領の伝記を執筆したりして彼を応援したのだが、1930年の世界大恐慌に遭遇して民主党のフランクリン・ルーズベルトに敗れた。
★海風:まとめ
チャーリー・ブラウンはマイ・ペースなのだと思う。負けてばかりいるが、チーム・メイトも付いて来ないが、それでもマイ・ペースを変えることはない。器用でないから変えたくても変えられないのかもしれない。それが北東部のあるべきアメリカ人や、カリフォルニアの新規事業に挑戦するアメリカ人との違いなのだろう。
確かに「ピーナッツ」には人生論的側面もあるのだが、不器用な・頑固な・変えられないチャーリー・ブラウンがめげずに翌朝も起き出すためには人生論が必要になる。
しかし、シュルツは、(ある意味)自己に忠実なチャーリー・ブラウンがアメリカ中央部にいるアメリカ人だと言いたいのだと思う。
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