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2022年01月10日17:35

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鎌倉殿の13人第1回「大いなる小競り合い」を見る

群像劇の名手、三谷幸喜がいきなり仕掛けてきました。
初回といえば、全く予備知識のない視聴者にも理解できるように、
主要な人物の紹介とその時代の世界観や社会像を描くものですが、
そんな悠長なことをしてられないとばかりに大量の人物を登場させ動かしました。

主要な人物にはカメラを止めて氏名を紹介するなどしてフォローしつつ、
ただでさえ北条の演者が出入りしている宴の場に頼朝を逃げ込ませるなど、
わざわざ人物が混線するような状況を作りだすことで、
人物、人間関係、その背景を説明しきるというあたりはお見事というしかありません。

伊東家と北条家の関係にしても、配役発表時に流されてきた
伊東祐親の「義時の祖父。平家に仕え、反旗を翻す頼朝の命を狙う」や
北条時政の「義時の父。天下取りの大勝負に挑む田舎武士」だけでは見えてこなかった
平家に従う伊東の勢力の大きさや北条の「田舎武士」ぶりも見えました。

「義時の兄。平家打倒を訴える熱き夢想家」ならではで口だけの宗時、
「義時の姉にして源頼朝の妻。女将軍として君臨」を予感させる戦略的色気の政子、
「義時の妹。成り上がる北条家の冷静な皮肉家」らしく情勢かよく見えている実衣と、
義時のきょうだいの立ち位置や性格の違いもくっきりしていました。

八重に手を出し子どもまで作った頼朝が京から帰ってきた祐親に追われると聞いた当初、
これは「頼朝どうでしょう」になるにちがいないと勝手に思っていましたが、
さすがに源氏の棟梁とあって、頼朝は動じることなく堂々としています。
むしろ、この展開なら当分「義時どうでしょう」が続くようです。

また、工藤祐常の紹介セリフ「私の土地をお返しください」が演じられたばかりか、
「善児と一緒に川遊びをいたしましょう」までが初回から発動したことで、
予習をしていた一部の人たちの間で悲鳴が上がりました。
きっと、これからも事前情報よりもはるかに多くの出来事が待っているのでしょう。

というわけで、今回の秀逸は、
舞台一筋で強面感のある坂東彌十郎が初大河で演ずる時政の愛されキャラぶりでも、
今回は非業の死を遂げないらしい山本耕史が演ずる三浦義村のクセモノぶりでも、
モブ感のあったヒゲの和田義盛も従者の安達盛長も実は13人の一人ということでも、

こんなに坂東武者の個性が強ければ絶対に負けないだろうと思わせたところに登場した、
藤原秀衡の田中泯、平清盛の松平健、後白河法皇の西田敏行の
絶対に力では勝てそうにないと思わせる魑魅魍魎ぶりでも、
それでも力で勝とうとした木曽義仲の青木嵩高と巴の秋元才加の高そうな戦闘力でも、

紅白歌合戦で三谷幸喜から生ダメ出しをされた大泉洋の「第1回の最後のセリフ」が
逃走時の女装と裏声の「はいっ」だったことから危惧される、
真剣に演ずるからこそコメディが生きる三谷流に対し、
頼朝のおふざけで笑いを取りにきたかのように見えた演出の危うさでも、

昨年7月、急遽、浅野和之が配役された伊東祐親の活躍ぶりを見ると、
順撮りではないにしても、ずいぶんあっただろう撮り直しの苦労でもなく、
「闘病に専念」の発表からわずかひと月で亡くなった辻萬長が、
一昨年11月の出演者発表時に出していたコメント「僕への当て書き」の哀しみ。
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