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2021年04月05日12:31

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青天を衝け第8回「栄一の祝言」を見る

「ちょっと待ったあ」からの「私のために争わないで」の
とんねるず〜河合奈保子/竹内まりや展開は月並みですが、
栄一が喜作に勝利して「賞品としての千代」を手に入れるのではなく、
女性側の思いを尊重する形で喜作が身を引く決着にしたのがイマドキの感覚です。

本来なら、千代の「栄一さん、気張って」で「そこまで」なのですが、
当時は、栄一が勝負の結果を尊重して千代のことをあきらめ、
喜作が惇忠に正式に申し込んでいたならば、本当に喜作が千代と結婚できた時代です。
そんな古くさい大河にはしたくないというのが、脚本・大森美香の思いなのでしょう。

一方、江戸では家定が直弼を大老に抜擢します。
無能と思われ、一橋派にないがしろにされてきた(と思っている)家定にとって、
直弼は、政を自分の手に取り戻し、その権力を見せつけための格好の道具でありました。

そして、そんな役目を甘んじて受け容れる直弼の人物造形も独特です。
14男で自宅を埋木舎と自嘲した「茶歌ポン」暮らしだった過去を手がかりに、
政治にうとく部下の信頼もない(と思っている)自信のない人間として描かれます。
ラスボス的に描かれがちな従前の直弼像に比べると、異色ながらも納得させられます。

そのため、勅許前に条約調印をするなという指示を出しつつも、
調印の責任を部下に押し付けないという正しい判断をする一方で、
自分を認めてくれた家定の期待に応えようとするあまり、
家定の遺命とも言える「呪いの言葉」から安政の大獄を引き起こすのでした。

一度は直弼と面会し、それなりの意見交換と手打ちを行い、
過激な父とも一線を画して上手く立ち回っていたつもりでいた慶喜ですが、
家定の嫉妬心からとはいえ想定外の登城禁止にさせられ、初の屈辱を味わいます。
人前で、これほどあからさまに怒った慶喜は、どこに進んで行くのでしょうか。

というわけで、今回の秀逸は、
初登場で名乗る前から「喜作さん、気張って」と声をかけることで機先を制し、
喜作を裏から動かすことを決定づけてしまったような隣村のよしの気丈夫ぶりでも、
根岸芳太郎監督の「遠雷」の永嶋敏行と石田えりの披露宴シーンを彷彿とさせる
襖を取り払って屋敷を広く使い、近所の人たちを集めて歌い踊る祝言の大宴会でも、
「いだてん」に続いて、出演2大河連続で大きな腹をさすっている
川栄李奈が演ずる美賀君のご懐妊でもなく、
紀行で紹介された井伊家に従って彦根に移転した龍潭寺で思い出した
井伊の里では不敵な外交僧にして井伊家の相談役の南渓を演じていた
小林薫が演ずる栄一の父・市郎右衛門の主人公見守りポジション。
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