先週の「新世界」については自分の知らない元ネタがあるかもと思っていたのですが、
さすがに、今週の副題の「ああ結婚」は1964年のイタリア映画由来です。
以前書いたストックホルムオリンピックだけ海外ネタ説は読み間違えていたようです。
さて、四三が池辺家の養子になり、スヤと結婚したのは史実ですが、
四三とスヤは見合いの席で初めて会ったとされています。
つまり、二人が幼馴染であることも、池辺家の跡取り息子の存在もフィクションでした。
そのことを踏まえると、今回はスヤをめぐる宮藤官九郎の脚色の総仕上げであり、
これまでの作り事をどう活かしてくれるのかが注目ポイントでありました。
大竹しのぶ、中村獅童、中村勘九郎、綾瀬はるかと役者はそろっています。
田んぼの話をさせつつ、養子と結婚を前提にたたみかけてくる実次と幾江、
突然の話とはいえ、いくら堅物とはいえ、どこまでも煮え切らない四三、
一度は見合いの席につこうとしたスヤですが、四三の態度に表情を曇らせ、
後はもう立ち去ることしか出来なくなっていたのでした。
そこへ、「オレが欲しかとは、スヤたい」から始まる幾江の長ゼリフが入ります。
一人残され放心状態の幾江が死のうかとも思った時に見たスヤの生きようとする姿、
そして、「こん人と暮らしたか」「スヤが一番だけえ」
「こん先、オレが生きるとすれば、そらあ、こん人のためばい」
この幾江の言葉によって、失意のスヤが救われました。
宮藤官九郎が用意した素晴らしい脚本を、四人の役者が存分に演じていくれました。
これが「四三は見合いで初めて会ったスヤと結婚した」なら、どれほど味気ないことか。
ありがとう。見ていて拍手したい気持ちになりました。
(しいて言えば、オリンピックと前夫が亡くなった時期が重なるので、
四三の応援のためにスヤが金栗家に登場したのは余分だったかもしれません。)
しかし、せっかく池部家の養子に入り、祝言もあげた四三ですが、
本人はあいかわらず「なにはさておき、オリンピック」だし、
スヤも「なにはさておき、(四三と夫婦にしてくれた)お義母さん」と言い返したものの、
夫婦になってもまだまだ片思いの日々が続くのでした。
一方、旅興行で浜松に行った朝太クンはというと、相変わらず酒と博打の日々で、
小憎たらしいが的を射た「まーちゃん」の言葉に本気で怒ってしまいます。
それにしても、肝心なところでしっかりとかかわってくるなあ、朝太クンは。
もちろん、クドカンがかかわらせているのだけれど
というわけで、今回の秀逸は、
わざと下手くそに歌詞まで間違う実次兄貴こと中村獅童の「高砂」でも、
懲りてない四三の、むしろ心配になる前時代的な(前時代なんだけど)耐熱練習でも、
たとえ、どんなに立派で頼もしそうな言葉であっても、
今や(四三以外には)とても信用できそうにない治五郎先生の安請け合いでもなく、
たった一回だけの登場なのに、綾瀬はるかにまで冷水浴を強いることになってしまった
玉名中学校の五条教諭こと姜尚中の罪深い、うかつな「冷水浴」の一言。
しかも、夫婦で冷水浴からの乾布摩擦が史実て。
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