安倍政権がなぜ長期安定政権になったのか。という疑問点への古谷氏の考察である。
「安倍嫌い」を解剖する 古谷経衡氏の解説（新潮45 2018年2月号掲載）
�＾打楡�権の支持基盤
何故安倍自民は強いか。安倍自民は小泉自民と違い、ゼロ年代に切り捨てた守旧勢力（郵政、農協、土建）等の疲弊職能を再度取り込み、かつ都市部の無党派への訴求を維持しつつ、公明党の組織票を利用するという、自民党の歴史の中でも稀にみるトライアングル構造の上に成り立っているからだ。
☆海風：都市部の無党派層がいつ、なぜ支持するようになったのか？ これはそれまでの自民党幹部のボス的イメージをシテイボーイ風に一新した小泉首相の功績かもしれない。安倍さんもボスという感じはしない。
��現実の安倍政権から乖離した批判
反安倍という病は、「極右のアベを国民が支持しているのは異常であり正すべきである」という思想と現実とのギャップの中から生まれてきた病理構造である。
☆海風：極右というイメージは安保法制や共謀罪の制定と９条改正を目指すところからの左翼リベラルからのレッテルである。
しかし、いずれも欧米では既存の法律なので「極右」の実質はない。だからだろう、オピニオンリーダー格の思想家からの「極右」という理論づけはないわけで、せいぜい東大系憲法学者や朝日毎日系左翼ジャーナリストからの批判やデモがあるだけ。
ただし、新聞は半々としても、テレビは安倍批判一色ではある。
�０打楡�権の政策は合格点である
量的緩和は一定程度奏功し、株価は上昇、雇用が拡大しているのは事実である。外交面ではトランプ追従の度が過ぎるものの、特段の失政はないと言える。沖縄政策では強引さと粗雑が目立つが、総じて60点を取り続けている。一度の答案で60点を取るのは難しいことではないが、5年間連続で60点を取るのは至難である。
☆海風：なんといっても若年層に希望を与えたことは大きい。親の世代も素直に喜ぶだろう。就職氷河期のフリーターを定職に着けるように、一層の景気拡大を期待したい。
☆海風：まとめ
思い返せば、小泉政権から民主党政権にかけて、行政改革と官僚批判の時代だったと言える。
国鉄改革は中曽根政権だったが、この時はマスコミも国民も支持していた。国民は国鉄のストとサービスの悪さに辟易していたのに違いない。
それから少し間を置いた小泉政権は、郵政改革を旗印にした行政改革だった。田中派の牙城の特定郵便局が標的だったために、自民党は分裂し政権側は刺客を立てての総選挙となったが、小泉首相の大勝で終わった。
日本を取り戻すという旗印の安倍政権は朝日の標的となって短命に終わったし、その後の自民党政権も短命で、ついに民主党政権となった。この時の選挙での民主党の勢いは今も肌で感じるように覚えている。聞こえてくるのは民主党の選挙カーばかりだったのである。
そして、民主党政権も行政改革を継続した。蓮舫による予算仕分けとか、田中真紀子外相の外務官僚との闘いとか。
で、就職氷河期の中でのリフレ政策によるアベノミクスの登場であった。上念氏によれば、当時の民主党の中にもリフレ政策に関心を示す議員もいたとのことである。で、その名簿を田原総一朗氏にみせると、彼らは非主流派だから民主党では採用されないと言われたとのこと。
結局、それ以前からリフレに注目していた安倍氏が上念氏らの講演会にもやってきたとのことで、その後、安倍氏の選挙公約となるや、たちまち株価が上昇し始め、選挙も圧勝した。
で、去年の夏ごろには、元官僚が行政改革の一環である国家戦略特区指定を行政をゆがめたとして安倍首相を攻撃するや、ジャーナリズムは一転して官僚の肩を持ち出したのである。
長くなったが、アベノミクスは民主党でも採用できたのであるが、彼らは財務省・日本銀行の方針に従っていた。もし、野田首相のノダノミクスであったら、民主党長期政権になっていたかもしれない。
ということで、古谷氏は「都市部の無党派層」を新しい自民党支持層とするが、むしろリフレ政策の恩恵を被った層（リフレ恩恵層）とした方がいいのではないか。
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