１枚目 上野の西郷さん 1898年
２枚目 西郷の肖像画 キヨソネー画
３枚目 鹿児島の西郷像 1937年
今年になって、読売新聞に西郷隆盛に関する二つの評論があった。
１．先崎彰容「未完の西郷隆盛」の紹介だった。その内容は、時代ごとの代表的思想家の西郷への評価の変遷を見たものである。
先崎氏は、結論として、
�＼抄燭鷲塋浸梁欧肪瓦�れた愚直で古めかしい人物、というだけではない。廃藩置県などで近代化を主導しながら、近代の持つ矛盾にいち早く気付いた人である。
�⊆�教に裏打ちされた天命に忠実だったこと、これが芯の強さとなり人々を魅了していた。
��このような幅の広さが、思想家たちに理想の日本を考えるきっかけを与えてきたのである。
�だ抄燭陵�想視には、結果よりも心情の純粋さを重んじる心性を含んでおり、手段を択ばぬテロリズムにつながる可能性のあることに注意すべき。
２．西郷の大河ドラマの考証を担当している磯田道史である。
�＼抄燭禄�装したり、犬にうな丼を自分より先に食べさせたり、自他に区別なく一体化や憑依する人だった。さらに明るくユーモアもあり、この特質が誰にでも愛されてカリスマになれた要因である。
��一方、容赦ない謀略家で、暗殺、口封じ、欺瞞など何でもやった。
��薩長の新政府が金と力だけで魂がないと感じた時に、故郷に帰って反乱を起こした。
３．これらを読んで、私は圭室諦成「西郷隆盛」岩波新書1960 を思い出したのである。
内容は、西郷無能論というべきもので、当時大評判になっていて私も読んだのである。西郷が歴史を動かしたのは江戸末、明治初の４年間だけ。その時に西郷を導いたのは勝海舟だった。海舟を離れた西郷はただ漂流していただけだった、というのである。
☆海風：まとめ
磯田の西郷論を読んで、圭室の西郷無能論と通じるのではないか、と感じた。というのも、西郷は他人と一体化する心性があるという指摘である。
�‘に詛匹梁腟彿殕�通や薩摩の下級武士と一体化した時代。この時、僧月照と心中未遂事件を起こしている。月照は死んだのだが。
�⊂ヽそ�の戦略に一体化して江戸城の無血開城を、そして廃藩置県を断行した時代。
��もう一度、薩摩の下級武士と一体化して西南戦争を起こした時代。この時は軍師になるべき大久保も海舟も、ただの権力者になってしまったと思い込んだのだろう。
そして、先崎氏の言うように、一体化した人々の違いから、思想家の誰もが考証したくなる幅の広い大人物に見えたのであろう。
おまけに肖像写真がないので、どの画が本当の西郷の顔なのか分からないのも謎めいた魅力をかもしている。
西郷は受け身の大人物だった。確かに、覚悟が決まっているので誰にも信頼されたのである。
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