読売新聞の1月11日付朝刊に篠田氏の談話が掲載されていた。
主旨は二つ。
１．戦後憲法制定の背景
1947年施行の憲法は、45年に発効した国連憲章の概念を引き継いだものである。憲法９条１項「武力の威嚇または武力の行使は、永久に放棄する」は、国連憲章の１節を抜粋したものである。
第二次大戦の日本は国際法違反とみなされ、侵略軍である日本帝国軍を解体することを目的とした規定である。
２．９条の意味
９条１項は不戦条約（1928年日本も署名した）以降の流れに沿っている。不戦条約には、国際紛争の解決を戦争によってするのでなく、平和的手段でするとの規定がある（９条１項と同じ）。
２項で禁止された「戦力」や「交戦権」は、国際法に反した交戦やそのための戦力を禁じたものである。
参考文献：戦争に関する国連憲章の規定について
平和フォーラム（連合）による国連憲章の解説（なお、この団体は安倍による９条改悪反対を謳っている）要約
「�‖茖下＼こβ臉鎔柄阿蓮∪訐鑄杞陲鮃圓Δ海函�国際法が禁じた武器を使用しないことなどを守れば、戦争そのものが罰せられることはなかった。しかし第２次世界大戦後、国際連合の結成と国連憲章の締結により、全ての戦争は違法になりました。
�△箸海蹐�国際法や国連憲章を守らない国によって、違法な戦争が起こされる場合もあります。そこで国連憲章は、�仝鎚姪�自衛権、�⊇乎津�自衛権、�９駭△砲茲觀鎧�的措置――の３つの武力行使を認めています。」
☆海風：
篠田氏の説明は明快なのだが問題は残る。その単純なことが、どうして今まで分からなかったのかということである。
�〆能蕕坊�法９条を見た時の反応
私の場合、小学校６年か中学生になっていたか、いずれにしろ授業で習ったのである。やはり、「戦争放棄」と理解した。もとより、憲法制定の背景など教えられなかった。ただ、国連軍があるとの説明はあったと思う。
この理解の仕方は私だけではない。大江健三郎も新憲法に感激し、そして今も感激中らしい。
大江ばかりか、何に書いてあったか忘れたが、徹底抗戦を主張していた旧軍人が新憲法を見て、そうか今後は武装せずに生きよというのか。分かった、敵が攻めてきたら自分は平和に殉じるまでだ、と決心したとのことである。
��憲法を解釈するときに制定の背景を考慮するべきか
問題は、憲法を解釈するときに、憲法以外の文献に当たり、背景を考慮すべきか、ということである。
確かに、これを聖典とみるなら、聖典以外の文献に当たるのは異端である。プロテスタントは聖書のみで神を知るのであって、法王や神父などの説を混入させてはならないのである。プロテスタントでも牧師が説教するが、これはそれぞれが聖書を読む（神の声を聞く）ための手引きなのだろう。
イスラムもそうで、マホメットに伝えられた神の言葉を記したコーランとマホメットと直属の弟子たちの言行録のみで解釈するのである。
��世界情勢を背景として憲法は制定され、改正されるべきこと
しかし、国民がよりよく生きていくための政治合意文書を聖典扱いにすべきではないはずである。もとより、成立の背景自体も改正の要件になる。ドイツ憲法も占領中は仮のもので、独立によってはじめて制定されたものだった。
だから、石原慎太郎は憲法改正でなく破棄だと、占領下の憲法制定は無効だと主張した。
また、この憲法の英文は、ＧＨＱの若い女性職員が１週間ほどで書いたもので、文章もなっていないとの主張もあった。
そのような理解のうえで、篠田氏の憲法論を読んだ私には、真に新鮮に見えたのである。
憲法とは国の中での国民生活の基準としてだけでなく、世界情勢のなかで国民が生きていくためのものでもある。その世界情勢が変わったら、当然ながら憲法改正が卓上に上るべきなのである。
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