１枚目 黒ボク土と関東ローム層
２枚目 主要黒曜石（矢じりなどの原料）産地とその海外との交易
３枚目 黒曜石産地の一つ伊豆諸島・神津島の黒曜石層・・・ネットから
黒曜石は本書の内容とは関係がないが、縄文時代の必須道具であり、定住と交易の例示とした。
山野井徹「日本の土 地質学が明かす黒土と縄文文化」築地書館2015
著者は1044年生。山形大学名誉教授、専門は層位・古生物学（花粉分析）、応用地質学。
�‥擇亮鑪爐狼げ垢箟�量などの気象条件に対応している。日本で一番多い土は雨量の多い温帯に分布する褐色土（世界共通の名称）だが、日本では森林に分布しているので（ローム質の）森林褐色土（55％）と呼ばれる。次に多い黒土（17％）は森林褐色土を割り込むように分布して、気候とは関連しない「成帯内性土壌」である。
黒土は日本に顕著に分布していて、農家用語では黒ボクと呼ばれる。ボクボクとして柔らかく耕しやすい土（ただし痩せた土）であることからの呼び名であるとみられる。学名はAndo sols（暗土の音訳）。
��土壌学では黒ボク土は火山灰を母材として、その黒色は（動植物の）腐食を多く含むからとされている。
しかし、疑問がある。古代人の遺物は、旧石器時代は褐色土で、縄文時代は黒土から発掘される。なぜ、縄文時代に降った火山灰だけが黒土になるのか。さらに、黒土だけがなぜ、腐食が多く、しかも深くまであるのか。そもそも、なぜ、古代遺物は土に埋まっているのか。これらの疑問に実験や観察で答えたのが本書である。
�２仍崖ヅ擇塙�ボクの地層には規則性がある。一番上部は黒ボク、その下に火山灰土があって、また黒ボクが挟まる。さらにその下に火山灰土があるという配列になっている。これは、火山の休止期間に腐食によって黒くなり、また火山が活動して・・・という経過によると考えられていた。
�げ仍崖ヅ擇箸いΩ討嗅召蓮�直接、爆発で降り積もった土に限定すべきである（定義が広すぎる）。その火山灰土が川や風の影響で別の場所に再移動したものは火山灰土というべきではない。
関東ローム層（ロームとは土の粒子の大きさでの区分）は火山灰土とされてきた。しかし、ほとんどのローム層には再移動堆積物や火山以外の起源の礫が混入しているので火山灰土とはいえない。
�イ箸海蹐如⊇媽茲貌�本に飛来する黄砂は、黄河上流の黄砂が季節風で飛ばされてきたものだが、その故郷はゴビ砂漠にあり、風で黄河上流に運ばれたものであった。つまり、土は風で運ばれ降り積もってできることが多いのである。ほかに、もともとの岩がその場で風化したものと雨や川により浸食され運ばれるものがある。
��黒ボク土も風成粒子が多く、火山灰土ではない。黒い粒子はススキの燃焼炭だった。これが活性炭として可溶性腐食を捉えていたのである。その堆積は１万年前から始まっていた。
その正体はススキの野焼きによってなったものであり、縄文遺跡周辺の黒ボク土にはススキの燃焼炭が含まれていた。野焼きの跡地には栄養価の高いゼンマイが生えてくる。これを縄文土器で煮てあく抜きしていたのである。
縄文１万年（縄文土器の制作されていた狩猟採集時代）。紀元前１万年から紀元前500年の弥生時代が始まるまで、１万年も同じ文明が続いた例は他にない。その間の野焼きでできた土が日本に特有の異様に黒い黒ボク土だったのである。したがって、縄文遺跡は黒ボクから。それ以前の旧石器は（焼けたススキの混入していない）ローム質森林褐色土からとなるのである。
そして、なぜ、遺跡は土の下にあるのか。その答えは土が風で運ばれる例が多いからである。（不思議な気もするが、降るのは雨だけではなく土も降る。）
☆海風：まとめ
ということで、日本の黒土とは、それ自体が縄文遺跡だったという衝撃の内容だった。
１万３千年ほど前から、日本の各地で定住が進んでいた。とすれば、それぞれの地域の目立った山に神がいたに違いない。すなわち国津神のはずである。何か証拠がないだろうか。
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崇神天皇は、疫病を鎮めるために宮中に祭っていた天照大神を大和の外に移し、次代の垂仁天皇のときに伊勢神宮を創立した。また、倭迹迹日百襲姫命（やまとととひももそひめのみこと）の託宣により、疫病の原因が三輪の神・大物主の祟りであったことが分かり、大物主神の子孫・意富多々泥古を探して祀らせることによって、大物主神の祟りを鎮めた。
・・・つまり国津神・大物主は天津神にして主神の天照大神よりも強力な神だったわけである。大和盆地の縄文１万年の神は（大和からみれば）侵略者の神・天照大神を追い出したということである。
さらに、倭迹迹日百襲姫命は大物主と結婚したのだが、その正体が蛇だと知って、驚いて箸を陰部に刺して死に、箸墓古墳に葬られた。
・・・実際は産褥で亡くなったのだと思うが、大物主の恐ろしさが伝わってくる。なお、神社に掛けられる注連縄は蛇を模しているとの説がある。
��伊勢神宮・外宮の祭神は丹波の国の豊受大神を迎えて祀ったとされている。なぜ、そんな必要があったのか。なぜ、伊勢の国の神でなかったのかわからないが、いずれにせよ、縄文の神に守ってもらう必要があったに違いない。
�Ｏ膳鯡燭倭衞蝋颪量鄰罎撚亶兇瓩冒�う。そこで叔母から貰った袋を開けると火打石が入っていたので、草那芸剣で草を刈り掃い、迎え火を点けて逆に敵を焼き尽くす（焼津の地名説話）。
・・・野焼きをするには、延焼を防ぐために草を刈っておいてから火をつけるとのこと。その描写だと思う。
�ぐ某瓩凌世搬亰茲靴帽圓辰刃膳�命の前に、神の化身の白い大猪が現れる。神の起こした大氷雨に当たったのがもとで、病の身となり、大和へ帰る途中で亡くなった。
・・・当時の人々には、国津神に歯向かった時の恐ろしさが身に染みているようである。
・・・他にもあると思うが、国津神の強力なこと、だからむしろ身を引いて対決するべきでないこと、あるいは国津神と共に祀られることなどを教訓とした説話だと思える。
征服者の天族は融和的に支配したようである。後のことであるが、律令制度になって中央から国司を派遣したが郡司以下は地元の豪族に任せている。これも、国津神との妥協の精神の影響に違いない。
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