何が起きるかを、皆が知っている最終回です。
「新選組!」のときにも念入りなフィナーレをやってくれたので、
きっと、何らかのフィナーレをしてくれるだろうとは思っていました。、
また、「望みを捨てなかった者だけに道が開かれる」のセリフを繰り返していたので、
きっと、なんらかの未来につなげるような話にするだろうととは期待していました。
そして、そんな期待にすべて応えてくれるとともに、
最後まで「まさか」という驚きに満ちた「最終回」でした。
有働さんのナレから入るのは。真田丸築城の回でもあったので想定の範囲かもしれません。
しかし、信之が一夜の宿を求めた尼寺に登場したのは、まさかの本多正信です。
決戦前夜の大阪城にたむろしているのは。まさか「ダメ田十勇士」の面々です。
真田十勇士は出さないと宣言していた三谷のエクスキューズであるかのように、
あるいは、本編とは無関係だった真田丸PV「ダメ田十勇士」を惜しむかのように、
三谷は、彼らを本当に大河出演者として配したのでした。
まだ豊臣優位での和睦を探る源次郎は、茶々と面談しますが、
「お上様」の仮面を外した時の茶々は、過呼吸で自分を見失いそうになります。
源次郎は、魔法の言葉「望みを捨てなかった者だけに道が開かれる」を使って鎮めます。
そして、最後の戦い。
思わぬ展開で乱戦になるも、まずは大坂方有利で進むのですが、
なぜかこんなところにも真田隊がいます。
勇ましいだけの信政は、またも判断を誤り多くの犠牲者を出すというあたりが、
「勇ましい豪傑」よりも、それ以前の調略や諜報戦が戦の勝敗を決するのだという、
三谷幸喜の非チャンバラ志向を如実に表しているところです。
とはいえ、源次郎は、
もはや、チャンバラだけで家康と雌雄を決せねばならなところまで追いつめられています。
おかげで、三十郎はまさかの小物扱いをされ、命拾いをしました。
お前は生きよ、というのが源次郎から三十郎への最後のメッセージだったのでしょう。
城に戻った大野治長が兵を動揺させたという史実を、
まさかの千成瓢箪で象徴させるあたりも三谷の上手さです。
しかし、大角が厨に火をかける前に、
間者発覚からの自害のふり、真田謀反の密告というひねりには驚かされました。
それでも出陣しようという秀頼を押し留めたのが、
まさかの茶々の言葉「望みを捨てなかった者だけに道が開かれる」。
なんというか、もう抜群のタイミングでずれてしまっています。
城中での内記の奮戦と、まさかの懐にひそませていた昌幸の位牌。
城に戻ることができたこと自体がまさかな作兵衛の城の中庭の家庭菜園での最期。
作兵衛を便利に使い過ぎている感はありますが、まあいいでしょう。
そして、単騎、家康陣に向かった源次郎に、まさかの「手を出すな」と叫ぶ家康。
「自分を殺しても徳川の世は盤石」と宣言する家康に、「百も承知」と返す源次郎。
やはり、この戦いは豊臣と徳川の天下を分けるものではなく、
むしろ源次郎が背負う真田と徳川の私怨であり、私戦だったように見えてきました。
とはいえ、確かに源次郎は世に名を残すことはできました。
子どもたちも、なんとか無事で暮らしていけそうです。
まして、信之はすっかり徳川家の大名として、新しい時代の人になっています。
さすがに、佐久間象山に期待をつなげるのはやりすぎかとも思いましたが。
というわけで、今回の秀逸は、まさかのナレ死から生き返ったかのような且元でも、
まさかの身体中が痛くなった佐助の55歳という告白でもなく、
千を秀忠陣に贈り届ける途中、単騎家康本陣に向かう源次郎を見つめ、
「源次郎さま」とつぶやくきりの女の顔。
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