「女漫画家東京都内に数寄屋を建てる」の2巻目。
ようやく敷地も決まり、いよいよ建築にかかる。
しかし、まだまだやらなければならないことがある。
まずは設計だ。
山下が子ども時代をすごした小樽の家にあった二間続きの和室を再現したい。
和室に座った時に、道路を挟んだ寺の高木を借景に眺めることができるけれど、
寺のコンクリート塀を視界に入れないような和室の位置、塀の高さを考える。
逆からの視線も生きる中庭もほしい。
設計ができれば、建築確認や景観規制等の諸手続きがある。
コストはかかるが税金が優遇される長期優良住宅にするか否か、
オール電化のエコキュートか、ガスと組み合わせたエコジョーズか、
どちらも導入しないのか。
施主が決めることは山ほどある。
地鎮祭もやった。
木を買いに京都にまでいった。
そして、基礎工事が始まる。
根切り、捨てコン打ち、床の鉄筋工事、立ち上がりの鉄筋工事、
床のコンクリート流し、木枠づくり、立ち上がりのコンクリート流しと進んで、
しばらく放置。
と言っているうちに、骨組み工事が始まる。
沓石と柱が完全に接着するのが不思議。
尋ねると、石の凹凸にあわせて、柱をのみで彫っているのだという。
そんな驚きを繰り返しながら、もう上棟。
家とは、こんな風に建てっていくものなのかと、
素直に勉強になる。
要所に挟まれる、家をめぐる子どものころからエピソードが、
山下にとって「数寄屋を建てる」という作業が、
子どものころからの家と家族をめぐる記憶を反芻し、
再整理する作業なのだと感じさせられた。
しかし、まだ、前途は多難なようだ。
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