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2011年08月17日22:27

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吉田秋生「帰れないふたり」を読む。

以前「海街diary」は「風街ろまん」のことだろうと書いたが、
「帰れないふたり」と言えば、これはもう真っ直ぐに、
井上陽水・忌野清志郎の共作による「帰れない二人」を思わざるを得ない。

「風街ろまん」や「帰れない二人」が発表された1970年代前半は、
そのまま吉田秋生が多感な10代後半をすごした時期でもある。
吉田秋生は、自分の10代のころの曲をタイトルにしながら、
今の10代の恋愛物語を綴っているのである。

それにしても、自分の10代のころと比べるまでもなく、
四女・すずも、友人の美帆も、ずいぶんと大人だ。
「男子」は、マサのレベルを標準にすべきなのかもしれないが、
せめて風太ぐらいに、人のことをきちんと思いやることができて、
思っていることをきちんと言葉にできたなら、
どんなにか、人としてきちんと生きて行くことが出来ただろうかとも思う。

きっと、読者に近い世代の10代が描いたならば、
なかなかここまでの深い思いを描き切ることはできなかっただろう。
そのような点では、この作品はすでに親の世代に達している吉田秋生から
現役の10代の人たちに託された願いのようなものなのかもしれない。

もっとも、この作品がホンモノの10代にどう受け取られているかはわからないのだが、
少なくとも、私のような「親の世代」には強く訴えかけてくる。

三姉妹の恋の予感も含めて、この物語も終わりに近づいているのかもしれない。
一区切りをつけるということは、人生にとっては大切であることなのだ。
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