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2010年12月13日21:40

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小説の中の謎(41)  歴史を変えるのは  

 アンナ・シュウエル「黒馬物語」1877 は、大地主の牧場にいた黒馬君が、地主一家の引っ越しにより売りに出され、ロンドンの街中で馬車馬になったりして苦労するのだが、賢く性格がよいために、いなくてはならない仕事仲間として頼りにされ生き抜いていく。馬って賢いのだなと感心した覚えがあります。
 しかし、同じく売られた同僚の牝馬は、プライドが高くて気にいった人間しか乗せず、気性も荒いので、虐待を受けて、最後は人間には勝てないとプライドもなくして路上で死んでいく。この物語は、動物愛護運動の発端となったことで有名である。
 いや、人間の保護下ではいけないと、ジャック・ロンドン「野性の呼び声」1903 は、飼い主から放たれた犬が、本来の野性を取り戻していく物語である。出版されたのがロシア革命前夜であり、革命文学に数えられている。
 黒馬派として、ストウ夫人「アンクル・トムの小屋」1852 がある。こちらのほうが古いし、似た場面があるので、黒馬の方が影響を受けたのだろうが。こちらは、南北戦争の正当性を裏打ちしたことで有名である。
 野性派は、今をときめくシーシェパードだろうか。黒馬に始まる動物愛護運動の末裔ではあるが、首輪を離れて野性派になってしまったのである。
 しかし、振り返ってみて、歴史を変えたのは、黒馬派か野性派かどちらだろうか。少なくとも私の場合、今も心に残るのは黒馬君でる。
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