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2010年11月10日20:30

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小説の中の謎(2)  月落ち烏啼くのは夜明けか夜中か

 「月落ち烏啼いて霜天に満つ」で始まり、「夜半の鐘声客船に到る」で終わる「楓橋夜泊」は、日本でも一番といってよいほど有名な唐詩であろう。
 この一行目は、空が白んでくる夜明けの情景といってよいであろう。しかし、4行目では、夜中であるとなっている。どう理解すればよいのか。
 全体の意味は、月が落ち烏が鳴いて、霜が満ちるように空が白んでいる。目がさえて眠れないので、船室の外に出ると、川面や楓が漁火に映えて明るい。その時、寒山寺から夜半の鐘の音が聞こえてきた。という、船旅の一夜の情景を描いたものである。
 要するに、作者は寝ぼけているのである。ということで、正解は夜中。夜中に落ちる月は上弦の月。灯りの少ない時代である。半月でも白むであろう。おまけに、漁火に映えて楓の紅葉が際立っている。今でいう夜間照明効果。烏も夜明けと勘違いして、騒ぎ出す。作者も、夜明けと思い船室の外に出る。そこに、真夜中の鐘が聞こえてきたのである。
 舞台装置のような、幻想的に美しい情景である。
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