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2022年02月12日00:49

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ウエストサイドストーリーとレナードバーンスタインについて

ウエストサイドストーリーを見てきた。
映画の感想の前に作曲者のレナードバーンスタインについてどうしても書きたい。

自分はレナードバーンスタインの信者だ。
レナードバーンスタインはこのウエストサイドストーリーを作曲した人です。彼はスーパーな才能を持った音楽家で天才。作曲もするウィーンフィルを筆頭に世界各国のオーケストラで指揮をして世界中を飛び回る。最後札幌でPMFという若い音楽家育成のための音楽祭を開催し、亡くなった。作曲家であり演奏家であり教育者だった。札幌市民はPMFを創設してくれたこの天才に対してもっと敬意を表していいと思う。道民は自分たちのいいところ恵まれているところをもっと認識すべきだ。

PMFのドキュメンタリー



動画全部いいのだが特に2本目の中盤、「これから人間的で深い音楽を作りましょう」以降のプローべがとてもいいのでぜひ見て欲しい。
これを当時NHKのドキュメンタリーで見てから信者になってしまい彼の指揮するもの、作曲したものを漁る沼にハマってしまって今に至る。当然ウェストサイド物語は若い頃に見て彼がグラモフォンに録音したCD、録音のドキュメンタリーも何度も見た。





当時指揮に関しては当時カラヤンかバーンスタインかで人気を二分してた。バーンスタインは平たくいうと指揮者としては世界的なカリスマだった。彼と音楽を通して関わりを持った人は彼に魅了される。それは録音、録画であっても同様でお祭りのようなものだ。彼の新しい録音が出るとなると専門誌では話題になる。同様に彼の指揮する演奏会のチケットは即完売の大人気だった。コンサートホールは祝祭だっただろう。そんな彼も前述の通りPMFの音楽祭の後ボストンのタングルウッド音楽祭の指揮の後闘病生活に入りすぐに亡くなった。長年の喫煙による肺がんだ。若い頃の彼は肺の別の病気もしてたのだが体力もつくと1日ワンカートンのタバコと一本のバーボンを日課としてたとらしい。それはともかくPMFのドキュメンタリーを見た後に来年はどんな手を使ってでも演奏会に行くぞと思ってたのだがそれは叶わなくなった。今はYouTubeでもニコニコ動画でも(多分違法なのだと思うが)演奏会や録音に接することができる。そして作曲した作品も見ることができる。録音や録画されたものはやはり実演には叶わないながらも作曲された作品が実演される時、作曲者はその場で蘇るんだよね。モーツァルトもベートーヴェンもピアノの優れた演奏家だったが彼らの音楽を通じて伝えたかったこと更に言うと彼ら自身が、彼らの作曲した曲を演奏する演奏者や指揮者を通じて今自分たちの前に蘇るんだ。音の向こうにいる人と再会できる。カラヤンは残念ながら指揮しかできなかった。彼はたくさんの録音を残したが録音はそのうちごく限られた人以外には忘れ去られてしまう。ごく限られた人も死んでしまう。記録として博物館に保存されていくのだろう。バーンスタインも同様にたくさんの録音を残したが彼のマーラーですら時代とともに忘れ去られるかもしれない。でも作品は録画であれ演奏されるたびにこの地上に蘇るんだ。ジャズと違いクラシック音楽で最も尊重されるのは作曲者の書き残した楽譜だ。楽譜に刻まれた意図を音を通じて再現することで作曲者は蘇ることができるのだ。バッハ、ベートーヴェン同様バーンスタインは演奏しようとしている演奏家にとって敬意を払われる偉大な存在として生き続けられるのだ。

今回のウエストサイドストーリーのスピルバーグによるリメイクは自分にとっては新しいバーンスタインの体験だ。新たな祝祭なのだ。彼は今を生きているハリウッドの映画人たちによって新しい姿で自分の前に現れる。そりゃ見に行きますよ。この映画に対する自分の態度は音楽を聞きにいくということだ。

ということで、ここからネタバレありの感想を書く。
まずは良かったところは群舞がキレッキレ。体育館でのマンボ、路上でのアメリカはすごい。撮影機材の進化もあるのだろう、俯瞰のシーンというかカメラが自由に動いて俯瞰のシーンも撮るのだけど昔のウエストサイド物語の時よりもカメラがかなり軽量化されてるのだろうね自由に動いて、そして群舞の後ろのお姉ちゃんたちまで映るのだがすげえ迫力。この二つのシーンはカットがかかった後大盛り上がりだったろうねえ。あとマンボのトランペットがすごくいい。ジャズのトランペット吹きですわ。これは誰もが絶賛すると思う。
あとサムホエアをあのおばちゃんが歌うとは思わなかったですねえ。このシーンは少しうるっときましたねえ。前作のウエストサイド物語と色々変えてきてるところあるのだけど、これはいい改変だと思う。
一番いい役者はアニータだと思う。あれだけ踊れて歌える。演技もできる。すげえ。マリアも歌える。マリアとトニーの二重奏ではトニーが少し劣ってるように感じてしまった。そのトニーもクールではいい感じに歌い上げている。ルックスも必要、ダンスも踊れて歌も歌えないといけないのだからなかなか大変だろうが世界中から役者が集まるブロードウェーは人材豊富というところだろう。
ウエストサイド物語に比べてだが人種差別の描写が結構加わってるように感じた。プエルトリコの国旗をペンキで汚すのは良くない。また体育館でのいがみ合いのシーンも結構キツく感じた。この対立の深刻さは現代のアメリカのトランプ共和党と民主党の対立の反映に見える。全世界での右傾化、極右政党の躍進に対するスピルバーグたちの懸念だと思う。この懸念を表明したくてこの映画のリメイクをしたかったのだろう。スピルバーグもバーンスタインもユダヤ系アメリカ人であり差別を経験しただろうと想像する。それもあってのアカデミー賞の複数のノミネートだろう。今作られて上映される必然性のあるミュージカルということだね。

追記
そういえば性的自認が違う人、性的少数者が登場してたね。いわゆるポリコレの影響だろう。でも入れて良かったのではないかと思う。
ウエストサイド物語よりかなり時間が伸びたように感じていたのだがウィキによると4分しか伸びてなかった。歌と歌の間の芝居が長ければ長いほど音楽が唐突に感じるので個人的には短い方がいいように思うが原作に左右されるものなのかもしれない。原作のミュージカルの舞台は見たことはない。


作曲者の自作自演のシンフォニックダンス


ドゥダメルのマンボ


一番最初の写真はウエストサイドを作曲してた時期に近い頃のレナードバーンスタイン

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