と言うことのようなので。
当時の屋敷の構造から言えば、ロウソクなどの光には蛾が集まってくる。
むろん、美男子の皇族なので、多分、中級貴族の女官たちだろう。紫式部も清少納言も中級貴族である。
退屈な雨の夜には、集まって来る女官たちを取り巻きと共に品定めすることになる。
ところが、取り巻きが言うには、身分の低い女にもいい女がいると。
光る君・紫式部は論語をよく知っているはずなので、
孔子「鳥は則ち木を択ぶ、木豈能く鳥を択ばんや」
ということで、牛車に乗って京の街へ出かけて、夕顔に惹かれることになってしまった。
その名の通り夕方に咲く夕顔は、逢魔時の物の怪に出合って取り殺されてしまった。
それで京を離れ、明石の方へ河岸を変えることにしたわけである。
光る君物語の第一の読者は、言うまでもなく望月の人藤原道長だった。
紫式部は、道長からも上流・中流・下流の女たちの生態を教えられたはずで、道長の知識が光る君の道案内になっている。
そして結局、光る君の冒険物語が、青年貴族が結婚相手を選ぶための指南書になった。
六条御息所のような、恨みの深い物の怪ストーカー女もいるが、だからといって女嫌いになってはいけない。「もののあわれ」として許さねばならない。
しかし物語は終わる。人は(猫でも)誰でもそうなるが、光る君も(望月の君も)「雲隠れ」にし夜半の月かな、となって終わりになった。
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