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2018年01月06日13:07

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精神の物語(44) 私の「能」体験

 1枚目 霊山観音(京都市東山区)
 2枚目 シテ(葵上)
 3枚目 シテの正体(葵上の怨霊)

 変な題名であるが、もとより能を体験したわけではない。一度、土浦城址公園で薪能を見ただけである。
 ただ、小学生か中学生になったかの時の体験が、今思い出せば「能」みたいなものだったと気が付いたのである。
 あの頃、歳の離れた兄に連れられて京都市内や郊外を見て回っていた。東山の当時できたばかりだったと思うが「霊山観音」を見学に行ったのもその一つだった。

 1枚目がその写真であるが、このように前に池が作ってあったかどうか記憶にない。しかし、戦死者が欲しがって死んだ水を湛えたものだろうと思うので。というのも、この観音は戦死者供養のために作られたに違いないからである。
 そう思うのは、兄と一緒に玄関に入って下駄箱に靴を預けようとしたとき、下足番なのか見学料金を受け取るための人なのか、子供の私にはずいぶん年を取ったと思われるおばさんに兄が何か尋ね始めたのである。
 で、覚えている断片なのだが。関東軍は日本で一番強い兵隊さんだった。・・・それが南方へと移動させられほとんどいなくなっていた。・・・そこへソ連軍が攻め込んできて敗れたのです、と。
 その時は関東軍? だった。
 あたりには、セメントの匂いが充満し、おばさんの哀しい不吉な切々とした語りをいやがうえにも盛り上げていたのである。

 後のことは、出てからどこかへ行ったのか、何も覚えていない。ただ、おばさんの立ち姿だけである。

 で、これを「能」だというのは、おばさんの姿は最初の「シテ」で、我々が旅の者になる。そして、我々がいなくなれば恨みをのんで死んだ者の口説きに変わる・・・変わっても不思議ではなかった・・・と気が付いたからである。
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