一枚目 主犯の角田美代子と被害にあった家族（５家族他）との人間関係図 ネットから
なお、この図は本書のものではないので、若干の違いがある。図でＩ家�△箸△襪里蓮∨椽颪任話�俣家である。本名記載か仮名記載か知らないし、どうでもよいことである。
角田美代子の姓は母方のもののようである。父方だと月岡で、これが弟の姓になっている。なぜだかわからないのだが、不審なことではある。
彼も美代子に劣らぬ犯罪者だったが、そりが合わなかったようで協力関係はなかった。
角田美代子の犯罪の影には、師匠に当たる暴力団幹部Ｍの存在があったということが、著者の強調することである。もっとも、尼崎事件を扱った本はたくさんあるようであるが、これが著者の発見なのかどうかまでは、私（海風）には、類書を見ていないから判断できない。
Ｍは角田美代子にいろいろアドバイスしていたという。
「お前の名前は姐さん、つまり女やくざや。職業は借金取り立て業兼家族解体業。世の中は、すべてカネ次第。カネの切れ目が縁の切れ目をモットーに突き進むしかないやろ」
「アメとムチを巧みに使い分け、家庭のきずなを断絶すれば、家族同士は相互に憎しみあい、自然と瓦解していくものや」
「相手を肉体的、精神的にとことん追い込むだけでは、他人を支配することはできない。時には一歩引いて、不幸な境遇で生きてきた不憫なヤツと一緒に泣いてやれば、人間関係の濃密なエキスが心をマヒさせてくれる・・・」（美代子の日記ノート）
☆海風：ここに、美代子の起こした未曽有の犯罪の目的と方法が要約されている。後は、人間関係図に従ってかいつまんで引用していく。なぜそうなるのかと、むしろ加害者より被害者に腹が立って気の重いことである。
分からないのは、Ｍがなぜ親身になって？ いろいろ適切なアドバイスをしていたのかである。カネの一部をもらっていたわけでもなさそうだし、男女関係も長い間の関係のなかで、時々程度だったとのこと。著者は、かわいい弟子と思っていたのでないかと言うのだが？ それにしても下手すれば共犯で連座する可能性もあるのだが。ただ、Ｍは事件が発覚する前に、愛人に刺されて死んでいるとのこと。
美代子は、狙い定めた家族の中に割って入って、Ｍのアドバイス通りに、きびしく（言いがかりの）罪を糾弾したり、情けをかけたりして揺さぶったのだが、それとは別に何人かは信頼関係のある人間をつくっていた。
�ゝ阻紊糧�枝子は一味の資産管理を引き受けていた側近中の側近。彼女は風俗で働いて美代子に貢いでいた。
�⇒�正則は巨漢で全身入れ墨をしていて、恐喝、暴行、死体処理なんでもする美代子の忠実なボディガード。彼は、母方の叔父・角田虎蔵の養子（義理の従弟）で、暴力団から買った覚せい剤の費用が払えず逃げ回っているところを美代子に助けられた。
彼の母親は韓国人。（被害者）皆吉家の長男と結婚したが、正則は連れ子になる。
�Ｈ�代子の次男・優太郎と結婚した谷本瑠衣。高松の谷本家を乗っ取ったのだが、この子だけは自分の後継ぎとしてかわいがっていた。
優太郎の実の両親は、美代子の内縁の夫・鄭頼太郎（韓国人）と義妹・美枝子である。自分の代わりに美枝子に産ませたらしい。
長男の健太郎は猪俣家の四男の長男であるが、養子として人質にしていた。
次に、美代子の標的となった家族がどのような弱みに付け込まれたのかを見ていく。ここが一番つらいところである。
１．猪俣家（人間関係図ではＩ家）
祖母の姉（美晴、仮名）が急死（不審死）したのだが、美晴は虎蔵の兄と結婚していたので、美代子にとっては母方の伯母に当たっていた。美晴の葬儀に現れた美代子は、数日前に死んだ美代子の母親の葬儀には誰も出席にないのに、なぜ、美晴の葬儀には全員が集まったのか、しかも宗派の違う葬儀でないか、そもそも美晴の夫は亡くなっているので、喪主は夫の兄・角田虎蔵がなるべきものだ、やくざの虎蔵は承知しないぞ、という脅しである。
結局、猪俣の祖母と亡くなった美晴の実家の親族男性が非礼を詫びて、美代子が立て替えたと称する葬儀代４００万円を渡したので、美代子は美晴の実家の親族とは和解した。
しかし、猪俣家に対しては糾弾を続けた。借金があると主張していたらしい。また、祖母と四人兄弟の仲がうまくいっていないのを見て取った美代子は、兄弟たちに祖母を殴打させ、トイレに閉じ込めたりしていたのを近所の人が警察に通報した。警察は祖母に逃げるように勧めたが、残された息子たちがやくざにひどい目にあわされるのを恐れた祖母は警察に帰ってくれるように頼んだ。
翌日には、祖母と三男の住むアパートはもぬけの殻になっていた。
結局、借金の返済と称して、彦根市の長男の家は売却させられ、一家は尼崎に集められて、子供たちは人質にとられ、退職金も預金通帳も取り上げられ、それでも残ったと称する借金の返済のために毎日日雇労働をさせられることとなった。女子の場合は風俗になる。そして、逃げてもどういうわけかすぐ捕まってしまうのである。（暴力団の情報網か？）
一家を追い詰めていくやり方は、この落とし前をどうつけると、家族会議を開かせ、彼ら自身に決めさせるのである。祖母に罰を与えなければならないと決まれば（そう誘導する）、息子が暴行し放置し、遂には死に至らしめる。直接の加害者である息子たちはもう逃げられなくなる、という手順だった。
最初に、金を払って逃れた親族男性も、猪俣一家の惨状に恐れをなして逃げたのだが、それでも発見されることを恐れて、兵庫県警に出頭した。彼も美代子の命令で窃盗事件を起こしていたのである。ところが、長男の息子の転落死とか、祖母の虐待とその結果の死を訴えても、兵庫県警は民事不介入だとして動かなかった。もし捜査していればこの段階で事件は終わっていたのである。
２．皆吉家と谷本家
皆吉家の長男（健一）は、だらしのない性格で、借金漬けになっていた。それを助けると称して美代子が介入してきたのである。彼の妻の連れ子が李正則だった。妻はスナックのママだったのだが、健一がスナックにも借金を負わせていた。
谷本氏はその皆吉家の長女と結婚していたのであるが、美代子が李正則の素行が悪いので預かって教育してほしいと頼んできた。人の好い谷本氏は預かったのであるが、正則の素行は収まらず、今度は、美代子があんたのおかげでひどくなった。この落とし前をどうつけるとねじ込んできたのである。
３．悲惨を極めた橋本家・・・パス
４．大江家（川村家）
川村氏は阪神電車に勤務していて、美代子が阪神へクレームをつけたことから、その処理係として知り合ったのである。美代子は喫茶店を開きたいという川村の夢を実現するように勧めて会社を退職させた。彼の妻は長続きしない夫には無理だと反対していたのだが、美代子が自分も応援するからと励ましたのである。
ところが、案の定、暇になった川村は賭け事などを始めて借金を作ってしまった。
うまくいかない理由を大江家の母の存在だとした美代子によって、二人の娘（川村の妻と彼女の姉・香愛）に暴行させて死に至らしめた。次に、香愛の罪を糾弾して、川村に暴行させたのだが、彼女は川村が眠ったすきに脱出し、頼りにならないと見た兵庫県警を避けて、大阪府警まで四日間歩いて訴え出たのである。彼女の受けた傷とただならない様子に信ぴょう性を確信した府警は、兵庫県警に捜査するように依頼した。
一方、香愛の脱走を知った美代子は、責任を取るように川村を責めて、妻と娘の一人をつれての飛び込み自殺を強要した（いつもの保険金目当て）。絶望した川村は、もう一人の娘は助けて川村家を継がせるとの約束を信じて、一家三人は車で尼崎港に飛び込もうとした。美代子が別の車で見張っていたのである。
まさに、その直前、まるで刑事ドラマだが、警察が急行し、川村一家を助けて美代子を逮捕したのである。
大した罪にならないと高をくくっていた美代子にとって意外なことに、彼女の側近の、正則、美枝子、瑠衣が自供し、各地で死体が発見され始めたのである。
ただし、すべてが分かったわけではない。美代子しか知らない疑わしい事件は、彼女の兵庫県警留置場での不可解な自殺で（なぜ、見張られていない時間があったのか）闇に葬られることになったからである。
☆海風：まとめ
何が被害者家族を追い詰めて、老母など家族に暴行して、文字どおりの加害者になり、美代子の描いたコースの通りに破滅させられたのか。これが一番の疑問だし、本書の事実関係を読んでも納得する答えがない。
�｜楼茲竜豌箸両豺腓世函∪ご崑里鬚�もんばかって、金で片を付けようとすることは考えられる。ただ、相手が悪く、要求がエスカレートして取り返しのつかないことになったのか。
特に、家族会議と称する洗脳会議で、お前たちの罪は（借金や非礼な行為など）すべて母親が原因だと誘導されれば、その方が楽になる。と思ったら、それが分かったのなら罰が必要だな、と誘導される。では、やれとなって、殴るふりをすると、今度は罰として自分たち同士で殴り合いをさせられ、次には、母親に真剣に暴行して、放置して・・・死ねば、埋めて来いとなる。巨漢のやくざ李正則がいるので逃れられない。
という経過で、今度は自分も警察を恐れるようになり、後は、美代子の言うまま、土地も家も、退職金に自殺用の保険まで掛けることになる。
�△靴�し、それにしても、最初の脅迫を逃れられなかったのか。
アメとムチを使い分けていた美代子の罠にはまり、指示通りにすれば、アメ（解放される）をくれると思ってしまうのか。
考えてみれば、スターリンの拷問の手順ではないのか。
いや、そこまでいかなくても、７０年大学紛争の教授糾弾会である。なにしろ、徹夜で老教授を四方八方から糾弾したわけである。そこには、大学院生も助手たちもいたに違いない。で、中には学生側（中心は中核・革マルなどの過激派）の主張に同調する教授たちもいた。確かに、講座制には徒弟制の一面がある。教授独裁の弊害が（医学部では白い巨塔だったし、独裁教授によるエイズ感染の血液製剤もあった。これなど犯罪である。
それはともかく、気がかりな過去を糾弾され続ければ、どうすれば許してもらえるのか、という気持ちになってしまうこともある。
ここまで連想して、中国と韓国による歴史戦を思い出した。中国は「南京大虐殺」、韓国は「慰安婦」や「強制徴用」などで、国連をも巻き込んで日本を糾弾し続けている。そして、学生に糾弾された教授たちと同じく、中国や韓国に同調して日本への歴史戦の尖兵になる日本人の学者やジャーナリストも多いようである。
美代子の家族会議（洗脳会議、シャワー型糾弾）は、人間の自己防衛機能を破壊するのに効果的な方法だったのである。たしかに、暴力団のＭはそのことをよく知っていた。そして、借金を負わせて、それを払わせるために土地や家はもとより、生命保険や風俗稼業をさせるなども暴力団の手法だった。尼崎事件は特殊な犯罪ではなかった。
��ここでアメリカを思い出した。アメリカは銃規制が、いくら無差別乱射事件が起きても規制できない国である。その理由は、自衛が独立以来の伝統だからだ、というのである。それだけか・
尼崎事件を見て、銃があれば、美代子の来襲は制約されたのでないかと思えるのである。確かに暴力団は怖い。しかし、銃を握れば（練習した上だが）勇気もわくのである。昔の戦争小説など読むと、銃を握っていれば、弾が飛び交う戦場でも怖くないという記述があった。
槍ならともかく、包丁ではプロに対抗できない。結局、抵抗をあきらめてしまうのである。
�じ世Δ泙任發覆い海箸世�、兵庫県警の対応は、癒着を疑うほどいい加減だった。いくら逃げても、すぐに美代子が追ってくる、というのは大いにおかしいことである。
警察への絶望が（本来、銃をもてないのは、警察が対応することになっているからなのだが）抵抗をあきらめさせる。ストーカーをいくら訴えても殺されるまで警察は動かない。それなら、アメリカのように認めるべきだろう。
ということで、美代子は隣にいるかもしれないのである。たしかに、オレオレの電話もいつかかってくるかわからないのだった。
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