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2015年07月30日12:26

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俳句、短歌、詩の幻想に向かって(2) 「泉の底に一本の匙夏了る」

 写真は「海辺の叙景」   ネットから

 飯島晴子の句で昭和47年とのこと。匙と夏了るの取り合わせが分からなかった。澄んだ泉の底に匙が落ちているーー夏が終わった。そういう感慨がわくのだろうか?

 私が昔作った句で ★湖に降る雨果てしなく夏終わる とやって落選だった。まことに見たままだった。雨が夏色を消してゆく、それはそうだし。ここの湖は松江の宍道湖だったが、もう一つ、つげ義春「海辺の叙景」の場面を思い出していたのである。

 晴子句の場合、泉の底にきらりと匙が光った。その涼しさが秋が近いことを思わせる。同時に、この泉は作者の心の中にあって、思い出のように残ったものがあった。それは異物ではあるが親しげな何かであった・・・という感じだろうか。

 夏と言うと、たいてい夏バテのぐったり感にいるのであるが、命の湧き出る時であり、夏の終わりは命の終わりの始まりを予感させる。匙に反射する冷たい光が象徴しているのだろう。

 ともあれ、晴子句にはとりあわせの面白さがある。少し見ていれば連想がわいてくる。

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