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2015年07月02日10:23

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動物物語(10) 藤本和典「生物いまどき進化論 都市化がもたらす人工サバイバル」

 1枚目 ヒキガエル
 2枚目 ジャコウアゲハとウマノスズクサ
 3枚目 ハクビシン  いずれもネットから

 藤本和典「生物いまどき進化論 都市化がもたらす人工サバイバル」技術評論社2009 を読んだ。都市に住み着いた野生動物、帰化動物、昆虫など30種類以上の適応ぶりを解説したものである。都会のジャングルなどという表現が、悪い意味であったが、意外にも動物たちの楽園になっているらしいのである。
 昔読んだ、ハドソン「はるかな国遠い昔」は、少年時代をアルゼンチンのパンパスで暮らした回想録であるが、その中に、野生馬だったか野ら馬だったかが、けがをしたり歳をとったりしたら、人家のそばにやってくることを紹介し、その理由を、彼らにとって人間は敵のはずだが猛獣よりはやさしいと思っているからだろうか、それともそう思うのは自分の感傷だろうかと述べていた。
 本書によれば、都会に適応した動物たちは人間の習性を学び、その意外に広い隙間を見つけたらしいのである。

 まず、ツバメであるが、これは人間が横穴で暮らしていたときから、そのそばに巣を作って暮らしていたとのことである。意外なことにツバメは弱い鳥で人間のそばでしか暮らせないらしいのである。ただ、私は数羽のツバメがカラスを追っているのを見たことがある。子育ての時は恐いなどと言っていられないのだろう。
 都会で困るのは巣作り用の土が少ないことである。有利な点は街灯があって虫が集まっていて、雛が早く大きくなることだとか。東南アジアからわざわざ渡ってくるのは、日本の夏は東南アジアより虫が多いことだとか。秋津島日本はトンボの国で、これが大好物だそうである。

 次は山鳩(キジバト)である。土浦の私の棲む町内は山鳩がたくさん棲んでいる。本書によれば、1960年に都市部での空気銃が規制されたのを好機として山を下りたのだそうである。多分、ゴミの集積所が整備されてカラスの活躍の余地が少なくなった。そのせいもあるのか、カラスより山鳩の方がたくさんいて、ぼっぼぼーぼっぼぼーと梅雨空を呼ぶように鳴いている。
 私のところでは、冬場用にスズメのために餌台を作って米粒を入れてやっていたのだが、去年の秋ごろから、たくさんのスズメが餌を待つようになっている。それまで数年間は、数羽程度だったのに。おまけに、ヒヨドリにムクドリの番まで来て、スズメを押しのけるようになった。それで、猫が気になるのだが、下の地面にも撒いておくこととした。
 春になって、ヒヨとムクは来なくなった。スズメも半分ほどに減った。それでも地面に撒く癖が続いているのだが、このところ山鳩がくるのである。私を見れば逃げるのだが。

 カルガモは土浦ではみないが、つくばの研究学園都市にはいた。研究所の庭の池にカルガモの一家が泳いでいるのを見かけたことがある。本書によれば、都市にいるカルガモはアヒル(家畜化したマガモで数世代で元のカガモに戻るとのこと)とカルガモの交雑種で、だから人を恐れないのだそうである。

 近所で黒っぽいセキレイとハクセキレイはよく見かける。本来は北方の鳥らしいのだが、カラスぐらいしか天敵のいない、おいしいスナックが落ちている都会がすっかり気に入ったとのことである。

 うちのガラス窓にはヤモリが毎晩やって来て蛾が近づいてくるとパクリとやっている。うちの猫のせいか尻尾のないのも来るし、生まれたてかと思える小さいのも来る。本書によれば、主食はゴキブリとのことである。人間のそばに来るはずだ。

 コウモリも傍の駐車場の街灯の周りを飛んでいる。古い家の隙間に棲むらしいのだが、近所には空き家も増えている。新築に隙間はないが、代わって空き家もできるので当分棲みかに苦労しないのだろう。そういえば、私が若いころ長く住んでいた広島県福山市なのだが、福山の地名の由来は蝙山だとのことで、城を作った山が蝙蝠の巣だったからとのこと。そういうわけで、最初に福山に赴任した時は、大きな蛾がたくさん飛んでいると思っていた次第である

 モグラも当然いるようである。ようであるというのは見ないからだが、しかし、ちゃんとした園芸をしている庭には、モグラよけのペットボトルの風車が設置してある。それに、近くにある小さい大学の庭を見ると、モグラの開けた穴がたくさんある。このモグラはやってきたのでなく元々いたのだろう。30年前ぐらいは、一面の畑だったとのことだから。

 ヒキガエルも都市に適応しているのだそうである。土浦はつくばの隣だからなのか、引っ越してきた春に、ヒキガエルを庭で見つけて驚いた。近所のどこにも池がないのに。本書によれば、卵を産むとき以外は池はいらないそうである。そして、春になれば生まれた池をめざすらしい。しかし、一番近い池でもかなり距離があるうえ、中心部から郊外へ延びる旧6号線を渡らなければならない。結局、何匹か轢かれているのを見て、もう、ヒキガエルを見ることはなくなった。

 ジャコウアゲハについても言及されている。この蝶の幼虫はウマノスズクサだけをたべるのだが、韓国から渡ったらしいホソオチョウと食性で競合するとのこと。私はまだ、ホソオチョウを見たことがないので、その点安心なのだが、それにしてもジャコウアゲハの幼虫はウマノスズクサを根元まで食べつくしてしまうのである。
ウマノスズクサの絶対量が足りないのか。近くにある別のウマノスズクサは刈られてしまったようだし。まあ、あれは根があれば、また、生えては来るのだが。

 最後に、ハクビシンをとりあげたい。これは、前にこの日記でも取り上げたが、うちの柿の実を夜中に食べに来たことがある。最初は、干し柿が減っているのでどうしたことかと思ったら、夜中に柿の木が騒いでいるので懐中電灯を照らすと2匹のハクビシンだった。
本書によれば、空き家に住み着くとのこと。ここでは空き家に不自由はない。
 ということで、生物は環境に適応する。都会も環境の一つで、人間たちはいい加減なところがあるので組みしやすいのかもしれない。

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